物価の基調的な上昇率、徐々に今後高まっていく=植田日銀総裁

Takahiko Wada

[東京 5日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は5日午前の衆院財務金融委員会で、今年の春季労使交渉(春闘)の現時点での結果を踏まえると「消費者物価の基調的な上昇率は徐々に今後高まっていく」と述べた。藤巻健太議員(維教)の質問に答えた。

植田総裁は物価見通しをみる上で、春闘を踏まえた基調的な物価上昇率の高まりを含め3つの重要ポイントを挙げた。残る2つは、輸入物価上昇が国内価格に転嫁されていく動きは減衰していくことと、政府によるエネルギー補助金関係の経済対策が徐々に終了するのに伴いエネルギーを含む物価にある程度の影響が出るという点。植田総裁はその上で、4月の展望リポートに向けて見通しを再度確認しているところだと話した。

植田総裁は5日付の朝日新聞のインタビューで、春闘の結果が夏にかけて賃金に反映されて行き「夏から秋にかけて物価にも反映され、その力が少しずつインフレ率を押し上げていく」とした上で、物価2%目標の持続的・安定的な達成の可能性が「どんどん高まる」と述べた。

また、財務金融委員会で植田総裁は、昨年4月の就任以降、首相官邸に4回行ったと説明した。日銀の金融政策が政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう「さまざまな機会を通じて意思疎通を図っている」とする一方、政府との意思疎通が「無用な思惑を市場に呼び起さないように配慮したい」と話した。

(和田崇彦 編集:田中志保)

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