パリ五輪最終予選へ挑む23名が決定! 大岩監督「ブラさず揺るがず一戦一戦」

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『パリオリンピック2024』への最後にして最大の関門である。『FIFAワールドカップ2026』がアジア8.5枠に拡大するのに対して、『パリ五輪』のアジア枠は3.5枠。『AFC U23アジアカップ カタール2024』では各クラブに選手招集義務はなく、欧州クラブの協力は一部に限られた。しかも開催時期は1月から4月に変更となり、カタールの最高気温は30℃を超えてくる。ただでさえグループステージは中2日のタフな日程である。そんな厳しい戦いへ向けて4月4日、U-23日本代表メンバー発表記者会見が行われた。山本昌邦ナショナルチームダイレクター(NTD)と大岩剛監督はこのようにあいさつした。

山本NTD「いよいよパリに向けての最終予選がスタートする。本来なら1月にカタールで決まっていたが、こういうイレギュラーな時期に中東でやるのは本当に厳しい予選が予想される。Jリーグ、大学連盟にご協力いただき、すべてのクラブ、連盟に感謝を申し上げたい。ありがとうございます。シーズン中にこういう予選があるということで、ファン・サポーターも自チームの心配もあると思うが、今回選出した選手に力を注いでほしい。1月の『アジア杯』もそうだったが、厳しいアウェイの状況が待っていると思うので、我々五輪チームを応援、サポートしていただければと思う」
大岩監督「本日メンバーを決め、カタールの最終予選に向かう準備ができる。山本NTDからお礼の言葉があったが、私からも選手の派遣に協力いただいたクラブに感謝の念を伝えたい。ありがとうございます。そういう責任も含めて、カタールで『パリ五輪』の出場権を得られるようグループとして戦っていきたい。マスコミのみなさんにはこのグループを国民のみなさんに認識していただけるよう報道いただけると助かります。よろしくお願いします」

山本昌邦ナショナルチームダイレクター

■U-23日本代表のメンバー
【GK】
1小久保玲央ブライアン(ベンフィカ / ポルトガル)
23山田大樹(鹿島アントラーズ)
12野澤大志ブランドン(FC東京)

【DF】
16内野貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ / ドイツ)
21大畑歩夢(浦和レッズ)
3西尾隆矢(セレッソ大阪)
5木村誠二(サガン鳥栖)
2半田陸(ガンバ大阪)
4関根大輝(柏レイソル)
15鈴木海音(ジュビロ磐田)
22高井幸大(川崎フロンターレ)

【MF】
20平河悠(FC町田ゼルビア)
11山田楓喜(東京ヴェルディ)
10佐藤恵允(ヴェルダー・ブレーメン / ドイツ)
6川﨑颯太(京都サンガF.C.)
7山本理仁(シントトロイデンVV / ベルギー)
8藤田譲瑠チマ(シントトロイデンVV / ベルギー)
14田中聡(湘南ベルマーレ)
17松木玖生(FC東京)

【FW】
9藤尾翔太(FC町田ゼルビア)
19細谷真大(柏レイソル)
13荒木遼太郎(FC東京)
18内野航太郎(筑波大)

大岩監督は『U23アジア杯』へ向けての自信をコメントした。
「アジアを勝ち抜く難しさを理解した中でこのグループを色んなものを積み重ねてきた。積み重ねたものへの自信、23名でタフな戦いを戦い抜く自信、選手とグループ一丸となって一戦一戦戦っていきたい」

チームのキーマンを問われると。
「今の時点で誰誰と挙げることはできないが、一戦一戦中2日で行われるので、一戦一戦キーマンに出てきてほしいし、こういう大会なので、チームを前進させるラッキーボーイに出てきてほしい」

メンバーはいつ決めたのか。また3月不参加だった山田、木村、内野航の評価について指揮官はこう答えた。
「決断のタイミングは昨日Jリーグがあったので、試合を見て、試合後の選手の状況を確認し、昨日の夜メンバーを決めた。各選手、今回初めて呼ぶわけではなく、我々のグループで活動してきた選手なので、この3人に関しても、我々のグループでタフな予選でしっかり戦ってくれると判断して決断した」

各クラブ3名までの人数制限があり、悩んだ点などを大岩監督はこう明かした。
「人数制限だったり、悩みだったり、こういう大会でメンバー選考するのには起こり得ること。各クラブ、同じような条件のもと、選手を派遣してくれるということだったので、どこのクラブを優先するしないではなく、我々はお願いベースなので、しっかりコミュニケーションを取った上で選手を選んだ。このメンバーでしっかり戦い抜けると思っているので、感謝とともに責任を胸に戦いに臨みたい」

大岩剛U-23日本代表監督

FWに求めた点は?
「抽象的だが総合的に判断した。我々のタスクのこと、得点を取ること、チームのために守備すること、組み合わせも含めて、我々が積み上げてきたものを総合的に判断して選んだ」

唯一の大学生、内野航の評価を求められると。
「さきほどFWの話でも言ったが、3月の活動だけではなく、彼の姿勢、オン・ザ・ピッチの彼のプレー、彼のパーソナリティなど、色んな面を考慮して、しっかり活躍できると信頼して彼を招集した」

佐藤、荒木については?
「ふたりとも得点をフォーカスされがちだが、得点を含めてポジションの役割をしっかり理解してプレーしてくれるし、チームメイトに信頼されているので、そういう面を評価して招集している」

佐藤恵允 (C)スエイシナオヨシ

3月の記者会見で山本NTDが「危機感しかない」とコメントした点を質問されると、ふたりはこう答えた。
大岩監督「厳しい戦いになるのは間違いないので、危機感というワードが正しいかわからないが、しっかり準備して、色んなことを想定して、我々の強みを発揮し、一戦一戦戦うという気持ちしかないので、そこをブラさず揺るがず、しっかり戦っていきたいと思う」
山本NTD「私の危機感という言葉がインパクトがあって申し訳なく思うが、この世代ではU20の世界大会がコロナ禍でなくなり、2023年の『U20W杯』はグループステージで敗退し、ほかの世代に比べて経験、成長、自信を詰めなかった。4月の中東での大会という環境や気候も含めて、前例のない予選を戦わなくてもいけないことを表現したもの」

改めて、『パリ五輪』への出場権を獲得する自信を訊ねられると、大岩監督は「当然我々の目標はパリに出場し、勝ち抜くことにあるが、まずは最終予選にしっかり勝ち抜くことにフォーカスしているので、しっかり足元を見て、最終予選に向かっていきたい」とキッパリ。

各クラブが発表した選手コメントは次の通り。
山田「自分が求められていること、やらなければならないことは、もうはっきりとしているので、それを最初からチームのために全力で出していきます!」
田中「U-23日本代表に選出していただき、とてもうれしく思います。チームに少しでも貢献できるようにがんばります!」
関根「前回の代表戦やJリーグでいいパフォーマンスが出せていると思っているので、そういうところを評価してもらって選ばれたのはとてもうれしく思います。チームのために自分の持っているものを全て出して、『パリ五輪』への出場権を取るというのが一番のミッションだと思っているので、そこに少しでも貢献できるように戦いたいと思います」
細谷「選んでいただいたからにはしっかり結果を残して、『パリ五輪』への切符を掴み取りたいと思います。タフな試合が続くと思いますし、大舞台でもあるので、そういった舞台でも輝けるというところを自分自身で証明したいと思っているので、しっかりと戦っていきたいと思います」
松木「選出していただきうれしく思います。自分自身の力を最大限発揮し、『パリ五輪』の出場権を獲得できるようにがんばります。日本から応援よろしくお願いします」
野澤「今回もFC東京の選手として代表に選出されたことに喜びと誇りを感じています。その感情を忘れず、仲間のために戦い、パリ五輪出場を決め、優勝してきます! 応援よろしくお願いします」
荒木「代表に選出していただきうれしく思います。日本の誇りを持って戦い、『パリ五輪』の出場権を獲得できるようがんばります。応援よろしくお願いします」

荒木遼太郎 (C)スエイシナオヨシ

『U23アジア杯』のグループステージ組み合わせ
【グループA】カタール、オーストラリア、ヨルダン、インドネシア
【グループB】日本、韓国、UAE、中国
【グループC】サウジアラビア、イラク、タイ、タジキスタン
【グループD】ウズベキスタン、ベトナム、クウェート、マレーシア

『パリ五輪』のグループステージ組み合わせ
【グループA】フランス、アメリカ、U23アジア杯4位×ギニアの勝者、ニュージーランド
【グループB】アルゼンチン、モロッコ、U23アジア杯3位、ウクライナ
【グループC】U23アジア杯2位、スペイン、エジプト、ドミニカ共和国
【グループD】U23アジア杯1位、パラグアイ、マリ、イスラエル

U-23日本代表は『U23アジア杯』で4月16日(火)・中国、19日日(金)・UAE、22日(月)・韓国と対戦し、グループBの上位2位までを目指す。決勝トーナメントは25日(木)・準々決勝、29日(月・祝)・準決勝、5月2日(木)・3位決定戦、3日(金・祝)・決勝を開催。3位までが『パリ五輪』へ出場し、4位は大会直後にパリで『2023 U23 アフリカネイションズカップ』4位のギニアと大陸間プレーオフを行う予定。中国戦・韓国戦・準決勝はテレビ朝日系列、UAE戦・準々決勝・3位決定戦・決勝はNHK総合にて生中継。DAZNにて全試合ライブ配信。

文=碧山緒里摩

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