SMASH YOUR FACE - 下北沢SHELTERで『vs. 企画』を毎月絶賛開催中! パンクやハードコアの垣根を超えて未知の楽しさを探求する稀代の異端バンドをよろしくお願いスマッシュ!

もっと外に出て幅を広げていくための『vs. 企画』

──昨年から積極的に2バンド+αの『vs. 企画』を下北沢SHELTERで昼帯にやってますよね。

NAN:うん。1回目がvs. おとぼけビーバーでスペシャルゲストにさかさまJr.。2回目はvs. COCOBATでDJにちゃんまい(中尊寺まい/ベッド・イン)。

──すごい組み合わせ(笑)。

NAN:3回目はvs. 雷矢でゲストにプンクボイ。4回目はvs. 流血ブリザードとポポチョリス。

──ポポチョリスというのは?

NAN:ベッド・インの(益子寺)かおりさんとプロレスラーの澤さんわかる?

──澤宗紀選手ですか?

NAN:そうそう、(格闘探偵団)バトラーツにも出てた。その澤さんともう一人、ドラァグクイーンの634・マンガリッツァさんとの3人でポポチョリス。新感覚劇団みたいなやつで“イメージだけでインドの歌を作ってみました”とか(笑)。すごい面白いのよ。歌とお芝居で。みんなプロだし、ショーとして凄かったね。

──そして、先月(3月)がvs. moreruでゲストにスラスラ(Slight Slappers)と。いやー、旬な人たちと絶妙なタイミングで共演してますね。

NAN:うん。基本は自分が実際に観て交わってきた人たちを呼んでるんだけど、ほんとにたまたまいいタイミングで。そして4月がvs. めろん畑a gogoでゲストにサイプレス上野とロベルト吉野。あと、5月にワンマンが決まってる。

──そもそもこの『vs. 企画』を始めたきっかけは?

NAN:ハードコアでもいいんだけど、もっと外に出ていきたいしもっと幅を広げていきたいから、そのきっかけを作りたいなと。昼ってこともあってケツが決まってるからたくさんバンドは出せないし、もう『vs. 企画』にして好きなことやろうと思って振り切ってみたんだよ。

──お昼ってのもポイントですよね。

NAN:DJもクラブノリだから外は明るいのに入った瞬間から真夜中みたいになってるしね。いろんなことを試せる場だと思ってる。照明とか全体の演出もリハから見てて。

──おー、そこまでやってますか。

NAN:実はそれも俺はぜんぜんノープランだったんだけど、Atsuoくん(Boris ※現在、SMASH YOUR FACEのプロデューサーとして関わる)が入り時間から来てくれていろいろディレクションしてくれるんだよ。

──忙しいのに(笑)。

NAN:ねえ(笑)。そんで「NANちゃん、リハのやり方間違ってる」って言われたりして根本から見直せました。Atsuoくんと一緒に何かを始めたってのはすごくデカかったな。

BorisのAtsuoにバンド・プロデュースを依頼した理由

──Borisとの付き合いは古いですよね。それがここに来てなぜ急に密になったんですか?

NAN:俺がお願いしたんだけど……なんかね、まぁこれまでの活動に特に不満は感じてなかったし、次もがんばろう、その次もがんばろうっていうスタンスでいいかなと思ってたんだけど、「このままでいいのかな?」って不安もあって。

──コロナもありましたしね。

NAN:そうそう、考える時間もあったし。このままただがんばってるだけで歳とっちゃうなって。俺は20代のときに周りのみんなより早くアメリカ・ツアーさせてもらったりとかレコーディングも経験してたからさ、やっぱり海外で活動するってことにすごく魅力を感じてて。自分にとってもそれは根底にある部分でそれによって得たものも大きかったし、がんばってくることができたんだよ。だからやっぱりまた海外でリリースしたりライブもやりたいからさ。そこで自分の周りで一番海外で活躍してるのは誰だろう? って考えてみたら.....やっぱりBorisだなと。

──近くにいるじゃんと。

NAN:そう。早速、Atsuoくんに(プロデュースを)お願いしてみたら「音源だけじゃなくて、バンド・プロデュースだったらいいよ」と。出来上がってるものをいじるのは面白くないから、もうちょっと骨組みから一緒にやりたいとのことで。

──7人目のメンバーみたいな?

NAN:そう。アツP(Atsuo)からも「メンバーのつもりで相手してほしい」というようなことを言われて。それで一緒にやり始めたけど新鮮だったね。これまで音源も企画も全部自分たちでやってきたけど、まるっきりの外部の人で、しかもBorisってゴリゴリのハードコアでもないじゃん? そういう人が外から見た意見をポンと言うわけよ、それが俺たちにとってはすごいびっくりするようなやつで。

──NANさんの肉体改造にまで口を出してきたんですよね(笑)。

NAN:それを一番最初に言われたからね、音のことより先に。これがプロデュースかと(笑)。びっくりしたね。

──そこはもう信頼関係がなきゃ無理ですよね。アドバイスに合わせたことで良さがなくなる可能性だってあるわけですから。

NAN:たしかに。うちのメンバーは年齢もバックボーンも違うから、Borisのことを知らないメンバーもいて。最初は戸惑って「誰、この人?」みたいな感じよ。雰囲気も自分たちのフィールドとも違うしね。でも、今はみんな(Atsuoの)ファンになってて絶対的な信頼を得てる。そういうのも俺は外から見てて面白かったけどね。俺はもともとリーダーじゃなくてドラムがやめちゃったことによってリーダーになったのね。そんで「みんなで作っていこうよ」って言ってたんだけどさ、年齢もキャリアも全然違うのにそんなこと言ったところでねえ。だから彼がみんなの信頼を得ていく姿を見て、あぁ俺の役目ってこういうことかもな……って。

──ロベルト吉野さん(Turn Table)という“異物”や、女性メンバーのKBさん(ギター)が入ったとこにさらにAtsuoさんが加わり、風通しがまた良くなりましたね。

NAN:開けっぱなしだけどね(笑)。AtsuoくんもBorisでできないことをSMASH〜でやれるから楽しいみたい。俺たちも「それはちょっと……」とか言わないからね。

アイドルを敬遠するパンクスにこそ観てもらいたい めろん畑a go go

──面白そうなことは何でもやってみてますよね。さて、アイドルともちょくちょく絡んでますが、その中でも次回は「vs. めろん畑a go go」ってことで。これはどういうセレクトなのでしょうか。

NAN:めろん畑a go goは去年めちゃめちゃ観に行ったのね。もちろんかわいいんだけど、それ以前にカッコイイんだよ。怖いおじさんに囲まれてもビッとしてるし。

──お客さんもパンチ合戦しますよね。

NAN:そうそう。すごいよね(笑)。今回の共演はもともとはツヨッシーのさかさまJr.(※FUCK ON THE BEACHのツヨッシーとめろん畑a go goの中村ソゼ、琉陀瓶ルン、皆野うさこによるアイドルグループ)から始まって。「SMASH YOUR FACE vs. おとぼけビーバー スペシャルゲスト さかさかまJr.」っていう“何これ!?”みたいな企画やったんだけど。

──たしかに“何これ!?”です(笑)。

NAN:考えうる範囲の最高の異物をぶつけてみたいなと。かといってまったく違うものじゃあ面白くないからさ、なんかバイブスが合うというか共通のものがあればいいなと思ってやってるんだけど。今回は本体(めろん畑〜)のほうにお願いして。

▲めろん畑a go go

──いろんなアイドルがいる中でめろん畑〜は特別ですか。

NAN:そうだね。多分ハードコアとかパンクの中にはアイドルを敬遠する人もいるかと思うんだけど、そういう人にこそ観てもらいたいと思ってるんだけどね。フリフリしたアイドルじゃなくてパンチがあるし、ベースになってる曲がパンクっぽいし、ASSFORTのMASATOがドラム叩いてるときもあったりね。なんかフックになればいいなと思ってて。そもそも俺はあまりジャンルってものを気にしないほうだから最初から前のめりで楽しめたんだけど、他のジャンルに興味持つ人って意外と少ないのもわかってる。

──よい化学反応が起きたらいいですね。

NAN:俺はすごいドキドキしてて。めろん畑〜が好きで観に行ってるからさ、そのお客さんにどういうリアクションされるのかというね。楽しみではあるけど、ちょっと怖いよね。

──オタの皆さんに受け入れてもらえるのかと。

NAN:ハードコアなのにDJがいてスクラッチしてたりとか自分たちでも説明できない感じになってるからさ、観てもらったほうが早いかなと。アイドル追っかけてる人の熱量って俺たちが若いときにパンクに出会って、パンク! パンク! 言ってたときと同じなんだよね。だから違和感は感じない。まぁ“地下アイドル”って響きが閉鎖的に感じるとこもあるかもね。

──私もアイドルはまったくわからないのですが、こんなふうに何か機会があれば観てみたいと思うんですよ。だからそういう人も案外いるのではかいかと。ましてやめろん畑〜はサイコビリーやガレージの要素もありますから。

NAN:俺も最初はアイドルなんでしょ? って思ってたとこもあったし、もちろん何かを好きでバンドを始めてるわけだから好き嫌いがあるのは当然だけど、極力そういう垣根は自分の中でなくしていきたい。“村”つくっちゃうのはよくない。

ジャンルに拘るよりまだ見ぬ楽しい人を探したい

──そこで引いちゃう人はもともと来ないと思うし、面白がってくれる人に期待したほうがいいですよね。

NAN:そうなのよ! SNSでの告知にしても毎日毎日やってウザいと思われてるのもわかってるけど、ウザいと思ってる時点でそういう人らはそもそも来ない人たちなわけで、それに何の遠慮をする必要があるのかと。それよりまだ会ったことない人たちに届いたほうがいいし、観に来てくれる人たちのテンションが上がってくれるといいよね。ジャンルに拘るよりまだ見ぬ楽しい人を探したい。そのほうがいい。

──とはいえ、SMASH〜は『KAPPUNK』や『METEO NIGHT』とかにも出演してるわけで、バランスがいいですね。

NAN:何かを捨てたり切ったりするつもりはないしね。自分の根本にあるパンクとかハードコアとかレベルミュージックってのはもう変わらないわけで。だから外に出てやりたい。ハードコアバンド同士でやるほうが今はやりやすく感じるよね。しかもパイが小さい中で「わかんないやつにはわかってもらわなくていい」っていうのは違うんじゃないかと。パンクやハードコアはこういうことやらないだろう、ってことを取っ払っていきたいし、“パンク、ハードコアとして”というより、どうやったらイベントとして楽しくなるかっていうことにかなり比重を置いてるね。チェキもやってるしさ(笑)。これがやってみたら楽しいんだよ。

──めろん畑〜の先にはワンマンもあるとのことですが、いつぶりですか?

NAN:6年ぶりくらいかなー? 前は中野のMoon Stepで。今のメンバーになってからは初めてだね。コロナのときに江ノ島OPPA-LAで無観客ワンマンはやったけどね。今のメンバーは昔のことを知らないから古い曲も練習してて。あと、いま新しいアルバムもアツPと一緒に考えてる。

──ではこれまでの歴史と今とこれからが観れるライブになりそうですね。SHELTERでやることに関してはどうでしょう。

NAN:実は昔はあまりやったことがなくて。どちらかというと高円寺とか中野とかでやってきたから。SHELTERは外国のバンドが来るときとか大きいイベントでのご褒美みたいな感じで出れるっていうイメージだったね。メジャーな感じだしハードコアもあまりやってなかったから別世界だったんだけど、そこでワンマンってのはやっぱテンション上がるよ。

──楽しみにしてます! では、最後にこれを読んでる方に伝えたいことがあればお願いします。

NAN:最後まで読んでくれてありがとう。僕たちSMASH YOUR FACEの2024は、毎月下北沢SHELTERでライブを行なってるのでタイミングが合えば遊びに来て欲しいです。あと年内にはアルバムをリリースするので楽しみに待っててください。来年から海外ツアーも行なっていく予定です。ぜひ動向をチェックしてください。よろしくお願いスマッシュ!

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