鈍い再生エネの伸び、気候目標達成に程遠く インフラ不足が課題

David Stanway

[シンガポール 4日 ロイター] - 昨年の世界の再生可能エネルギー発電容量の伸びは気候変動目標を達成するために必要な伸びの半分足らずにとどまったと、有力シンクタンクが指摘した。エネルギー需要の増加と送電インフラ不足が化石燃料からの転換を遅らせているという。

政府や業界団体が参画する「21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク(REN21)」(本部:パリ)が4日公表した年次報告書によると、世界の再生可能エネルギー容量は昨年、約473ギガワット(GW)、36%増加した。22年連続で増加したものの、気候変動目標達成に必要な1000GWの半分にも満たなかった。

ラナ・アディブ事務局長は「エネルギー需要が、特に中国、インド、その他の発展途上国で同時に増加している」と述べた。

REN21は、自然エネルギー部門では送電網インフラへの投資不足が課題だと指摘した。送電網への接続待ちのプロジェクトは昨年は3000GW相当だったという。

途上国が再生可能エネルギー施設を建設する資金の援助も引き続き大きな課題になっている。

アディブ氏は「資本コストは世界的に大幅に上昇しているが、発展途上国では特に高い」と述べた。開発資金も不足し、昨年の世界の再生可能エネルギー投資総額のわずか1.4%にとどまったとしている。

昨年の世界の再生可能エネルギー投資は前年比8.1%増の6230億ドル。気候変動目標を達成するには年1兆3000億ドルが必要とされる。

「技術はある。CO2排出量の80%は既存の技術で削減できる。必要なのは政治的な意志だ」とアディブ氏は語った。

© ロイター