「自分の描いたシナリオ通りに」リーグ戦5得点の荒木遼太郎がパリ五輪最終予選のメンバー入りに本音「同世代でやれる最後の舞台がパリ五輪なので…」

パリ五輪のアジア最終予選に臨むU-23日本代表の一員に選ばれたひとりが、FC東京の荒木遼太郎だ。メンバー発表の翌日、4月5日に囲み取材に応じた彼はまず「素直に嬉しかったですし、色んなプレッシャーも楽しみながらやりたい」と意気込みを語ってくれた。

鹿島アントラーズからFC東京に期限付き移籍した今季、J1リーグの6節を終えて得点ランク2位の5ゴールとシーズン開幕から好調を維持。直近の浦和レッズ戦でも美しいトラップからのミドルで見事な同点弾を決めている。

今季ここまでの活躍を荒木は次のように振り返った。

「まずレンタルで出してくれた鹿島、受け入れてくれたFC東京に感謝しています。ここで活躍し代表に入りたいと考えていて、それがこうやって自分の描いたシナリオ通りになった。パリ五輪の出場権を掴んで、より良いシナリオにしたいです」

鹿島で出番に恵まれなかった昨季を経てFC東京に加入当初は「活躍したら(U-23日本代表に)入る可能性はちょっとあるかなと思っていた程度」という荒木だが、日本代表への想いは「昔から強かった」。

「(3月に)U-23日本代表に選ばれ、実際にプレーしてみて、やっぱりここでやりたいなという想いが膨らみました」

これはきっと本音だろう。ちょっとした環境の変化が、こうした感情を生み出す。

「この決断(FC東京への移籍)は間違っていなかったと思う。試合に出られる環境に自分を置いたほうが代表にも選ばれるし、本当にこの決断は間違っていませんでした」

情報には疎くて「昨日のメンバー発表も知らなかった」という荒木だが、一時期薄れたという代表への想いは確実に強く、濃くなっている。

そんな荒木は、U-23日本代表の大岩剛監督に求められる役割を「ゴール、アシストはもちろん、スムーズな攻撃を展開すること」と回答。やはり期待したいのはバイタルエリア、最終局面での決定的な仕事である。

ちなみに、4月15日に開幕する最終予選は4か国ずつのグループに分かれてリーグ戦を戦い、各組2位までのチームが決勝トーナメントへ、そこからノックアウト方式で争う形だ。決勝に進んだ2か国、3位決定戦を制した1か国が自動的に本選出場となり、4位の国はアフリカのギニアとのプレーオフに回る。

グループBの日本は、4月16日に中国、同19日にUAE、同22日に韓国と対戦。この組で2位以内に入れば準々決勝に駒を進めることができる。このタフな戦いに向けても、荒木は「厳しい試合を経験できるのは嬉しい」とポジティブに反応。「そういう試合ほど楽しみ」「同世代でやれる最後の舞台がパリ五輪なので、その大会に絶対に出たい。こんな経験できないので国を背負って戦いたい」とモチベーションを高めていた。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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