時代劇のテーマ曲に洋楽はあるの?

日本のTVドラマや映画などの一分野として長く親しまれている時代劇。戦国時代や江戸時代を中心に太古から近代までさまざまな時代の物語をテーマに、多くのファンに親しまれています。ドラマや映画を彩る音楽は、時代劇のイメージの一翼を担うアイテムの一つともいえますが、やはり時代背景に合わせてか、日本らしい作風の演歌や歌謡曲といった流行歌、壮大なオーケストラをはじめとするインストゥルメンタル曲が多くを占めています。

そのなかで、時代劇に洋楽をテーマ曲に起用した例としてよく知られているのが、二代目中村吉右衛門が主演を務めたフジテレビ系時代劇『鬼平犯科帳』のエンディング・テーマとなったジプシー・キングス(Gipsy Kings)の「インスピレイション」(Inspiration)です。『鬼平犯科帳』は1989年(平成元年)から13年間にわたり第9シリーズまで放送。さらに、劇場版のほか、2005年より2016年までスペシャルドラマが放映され、シリーズ150本目となる2016年12月の『鬼平犯科帳スペシャル』でシリーズ終了となった大ヒット・ドラマ。そのエンディングでは、四季を彩る風景や日常の生活など江戸町人文化を描写した映像とともにジプシー・キングスの「インスピレイション」が流れ、人生のわびしさや哀愁といった情緒も感じさせます。

ジプシー・キングスはフランス出身のフラメンコ・ギター・バンドで、キリンビール「淡麗〈生〉」のCMでおなじみの「ボラーレ」をはじめ、「ジョビ・ジョバ」「ニーニャ・モレーナ」「エステ・ムンド」「ベン、ベン、マリア」など多くの楽曲がCMソングやドラマ関連曲に使われ、日本でも多くのファンを持っています。これらの楽曲は、『ザ・ベスト・オブ・ジプシー・キングス』(写真)ほかのベスト・アルバムなどで聴くことができます。なお、ジプシー・キングスは、“GIPSY KINGS featuring Nicolas Reyes”として7年ぶりの来日公演も決定。5月に東京、仙台、大阪、名古屋を巡ります。

そして、純粋な洋楽とは異なるかもしれませんが、福山雅治が坂本龍馬を演じた大河ドラマ『龍馬伝』では、オープニング・テーマでオーストラリア・メルボルン出身の歌手 / 作曲家で“ネオクラシカルの歌姫”とも呼ばれるリサ・ジェラルド(Lisa Gerrard)がヴォーカルを務めています(佐藤直紀『NHK大河ドラマ「龍馬伝」Vol.1 オリジナル・サウンドトラック』に収録)。リサ・ジェラルドは綾瀬はるかが女座頭市に扮した映画『ICHI』のサウンドトラックも手掛けています。

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