マクドナルド、イスラエルの全店舗を直営へ 不買運動で売り上げ低迷

ファストフード大手の米マクドナルドは4日、イスラエル国内の全店舗を、フランチャイズ企業から買い戻すと発表した。マクドナルドに対しては、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦争をめぐり、ボイコット運動が起きている。

マクドナルドによると、イスラエルで30年以上フランチャイズチェーンを展開するアロニアル社と、国内225店舗の返還で合意した。それらの店舗では計約5000人を雇用している。

アロニアル社がイスラエル兵に数千食を無料で提供し始めたのを受け、マクドナルドに批判が集まっていた。

マクドナルドの中東での売り上げは、昨年10月に紛争が始まって以来、低迷している。

マクドナルドの説明では、店舗とオペレーションと従業員は「同等の条件で」維持される。同社は引き続き「イスラエル市場にコミット」していくという。買い戻しの条件は明らかにしていない。

イスラム諸国などで不買運動

マクドナルドをめぐっては、イスラエルを支持している様子だとして、クウェート、マレーシア、パキスタンなどイスラム教徒が多数派の国々で、距離を置く声明が発表された。それをきっかけにボイコット運動が起こった。

草の根のボイコットは中東以外にも広がり、世界各地で活発な抗議行動も起きた。

マクドナルドは1月、イスラエルとハマスの紛争が、フランス、インドネシア、マレーシアでのビジネスに「大きく影響した」と認めた。ただ、最も大きな影響を被ったのは中東だとした。

同社のクリス・ケンプチンスキー最高経営責任者(CEO)は、同社への反感は「誤った情報」が原因だと主張。しかし、収益は落ち込み、約4年ぶりに四半期売上目標を達成できなかった。

同社はボイコット運動について、「残念なもので、正当な理由がない」と評した。マクドナルドの店舗は世界で4万以上あり、そのほとんどは何千もの独立会社によって所有・運営されている。中東の店舗は世界全体の5%ほどとされる。

ケンプチンスキー氏は1月、「イスラム諸国を含め、営業しているすべての国で、マクドナルドは現地のオーナーによって誇りを持って運営されている」と述べていた。

また、「この戦争が続く限り(中略)大きな改善が(それらの市場で)見られるとは思っていない」としていた。

マクドナルドはイスラエルでの事業を「内製化」することで、中東での評判を回復させ、主要販売目標を再び達成することを狙っているとみられる。

(英語記事 McDonald's to buy back all its Israeli restaurants

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