絶望感しかない大阪万博の「無料招待」プラン…小学生の遠足には“危険な問題”が山積み

聞こえはいいが施設の設備が伴わない…(整備が進む会場の夢洲=3月)/(C)日刊ゲンダイ

2025年大阪・関西万博に、また新たな懸念が浮上だ。大阪府内の小中高校生(特別支援学校を含む)を対象に実施する「無料招待」プランだ。

府は23年度から25年度にかけ、計約14億円の予算を計上。万博期間中に児童・生徒約85万人、引率の教員約10万人の計95万人を会場に無料招待する方針だ。

学習機会の確保と言えば聞こえはいいが、問題山積である。共産党の府カジノ・万博PT責任者を務める辰巳孝太郎元参院議員は3日、自身のXに府教育委員会の資料を示しながら〈【万博遠足は無理】府教委の資料を入手して色々分かった事〉と投稿。問題点を列挙した。

■問題だらけ

〈パビリオンは選べない(抽選)〉〈行く日も選べない(希望日は出せるが)〉〈万博駐車場から入口まで1キロ徒歩移動。→小1だと30分かかる〉〈児童・生徒は1.4万人/日なのに昼食をとる団体休憩所は2000人まで〉〈いつ下見できるのか分からない〉〈医療的ケアが必要な児童への対応は示されていない〉〈避難計画もない〉

駐車場から1キロも歩かされ、興味のないパビリオンを見させられ、挙げ句にランチの場所も確保できない──なんてことになりかねない。子どもには試練の連続だ。吉村府知事は無料招待を発表した際、「肌で触れてもらい、将来の夢や希望、目標につながればいい」と強調していたが、むしろ絶望感が漂う。

日刊ゲンダイも同じ資料を入手。今年2月の学校向け説明会で使用されたものだ。府教委事務局にあたる教育庁に「万博遠足」の課題認識を問うと、「子どもたちは喜ぶ話かなと思うので不安払拭に努めていきます」(教育総務企画課)と至って前向き。解決策については、こう答えた。

「どのパビリオンを見学するかは、最終的に万博協会から学校側に(見学場所を)割り当てられるのではないかと考えています。屋根がある昼食スペースの確保や医療ケアが必要な子どもへの対応など、ご指摘の課題意識は共有しています。ただ、まだ万博の全体像が見通せず、具体的な検討はこれからです」(同)

準備の遅れが至る所に弊害をまき散らしているわけだ。先月末には会場工事中にメタンガスとみられる可燃性ガスに火花が引火する爆発事故が発生。こんな危険な場所に子どもを安心して連れていけるのか。

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