繁殖場で生まれ、行き場失った犬 お迎え初日にイビキかいてスヤスヤ、癒やしの存在に

二度寝中=保護犬チワワのちくわさん(@hogochikuwa)提供
お迎えした時のちくわちゃん=保護犬チワワのちくわさん(@hogochikuwa)提供

ちくわちゃん(5歳・オス)は、2023年8月、保護活動をしているミリミリさんに保護された。生まれた時から繁殖場にいたのだが、頭数制限の規制がかかり、行き場所がなくなった子達を引き受けたという。

お散歩、練習中なんだ=保護犬チワワのちくわさん(@hogochikuwa)提供

大阪府在住のNさんは、公園で仲良くなったサクラ猫たちに頻繁に会いに行っていた。

「いつも癒されていました。ところが、その猫たちは、1年ほど前に保護団体に引き取られ、心にぽっかり穴があいたような気持ちになった。その子達をお迎えできなかった罪悪感のようなものも感じていました。家族に猫アレルギーがあるため飼えなかったのです。そこで譲渡サイトを頻繁に見るようになりました。」

狂犬病注射でテンションだだ下がり=保護犬チワワのちくわさん(@hogochikuwa)提供

ペットのおうちという譲渡サイトを何気なく見ていた時のこと。Nさんは、ちくわちゃんを見つけた瞬間、居ても立ってもいられないほど感情が揺さぶられた。「会いたい!」と強く感じ、すぐに応募したという。

Nさんはミリミリさんの家に行き、ちくわちゃんと面会した。
「ちっちゃくてよちよち歩いていて、子犬のような可愛さでした。手をペロペロしてくれた瞬時にノックアウトされました。」

穏やかな気持ちになれた

飼い主さんの帰宅を喜ぶ=保護犬チワワのちくわさん(@hogochikuwa)提供

ちくわちゃんを家に連れてきてもらうと、そこまで怯えているような様子もなく、「どこだ?ここは?」という感じだった。
「少し遊んで疲れたのか、『前から住んでいたのか!?』という感じで、イビキをかいて寝始めました。大物だなと思いました(笑)」

カメラマンになったよ!=保護犬チワワのちくわさん(@hogochikuwa)提供

ちくわという名前は、ミリミリさんがインスタで公募して選んだ名前だった。
「可愛いし、ちくわっぽかったのでということでした。私は、ちくわという名前を知るまで、勝手に獅子丸と名付けていました。獅子丸の好物のちくわという名前に運命も感じました。気に入ったので名前はちくわのままにしました。」

ちくわちゃんは、たいがいのことは受け入れるというか、物事に動じないタフなメンタルの持ち主だという。
「お風呂に入れたり、自転車や車に乗せたりする時も大人しくしていてくれます。おっとりした性格です。食い意地が張っていて、少し物を落としただけでも自分のおやつだと思ってやってきます。お洋服も大人しく着させてくれるのですが、着た後に、『僕ちん洋服を着させられたです!』という感じで、被害者面をしてヘニャヘニャと地面に倒れ込む演技をよくします。」

ちくわちゃんを迎えて、Nさんは以前より穏やかになった気がしているという。
「毎日癒されているので心に余裕が出てきた気がします。以前までは不規則な生活をしがちでしたが、規則正しい生活になりました。」

買い物に行っても、「これちくわに良さそうだな、好きそうだな」と考えたり、出かけていても早く帰るようになったり、ちくわちゃんはすっかりNさんの生活の中心になっている。

「5年間自由のない生活を送ってきたので、これから青春を謳歌してもらいたいと思ってます。」と、Nさんは言う。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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