秦野市の災害時携帯トイレの備蓄は1日分に満たず、2028年度までに充足へ 秦野市

能登半島地震では広範囲の断水が発生し、改めて重要性が浮き彫りとなった災害時のトイレ。本紙では県内市町村を対象に、災害時トイレの備蓄などに関するアンケート調査を実施。備蓄状況は各自治体で異なることがわかった。現在、秦野市が備蓄している携帯トイレは約3万7000回分。市の想定する避難者・帰宅困難者に対して、1日分にも満たない。市は2028年度までに約11万回分の備蓄を目指すとしている。

秦野市は、神奈川県地震被害想定調査に基づく、都心南部直下地震の被害を想定した備えを行っている。この想定によると、同地震発生による避難者数は5090人、帰宅困難者数は6570人になると見込まれている。これを踏まえ市は、携帯トイレ3万6800回分、マンホールトイレ191基、仮設トイレ116基、埋設トイレ86基を備蓄。さらに、民間企業など5者と仮設トイレなどのレンタル提供、仮設トイレの設置・撤去業務、し尿処理業務の協定を結んでいる。

3日分の備蓄必要

内閣府のガイドラインによると1日当たりの排泄回数の平均は一人5回。上下水道が断水した場合、発災直後から3日は施設の点検が終わるまで使用しないルールのため、3日分の備蓄がモデルケースとされている。秦野市の避難者・帰宅困難者数を約1万2000人と想定した場合、携帯トイレ3万6800回分では、1日分にも満たない計算となる。

これらの状況を踏まえ市防災課の担当者は「携帯トイレと合わせ、マンホールトイレや仮設トイレなどを活用して対応にあたります。また、2028年度までに携帯トイレ約11万回分の備蓄を進めていきます」と話すとともに、「各家庭でも3日分ないし1週間分の水、食料に加え、携帯トイレの備えをお願いします」と呼び掛けている。

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