レブロンが語る「今のNBAの礎」や「優勝に必要なもの」とは…ポッドキャストで過去を振り返る

4月4日(現地時間3日)に、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)と元NBA選手でありアナリストのJJ・レディック(元ロサンゼルス・クリッパーズほか)によるポッドキャスト番組“Mind the Game”(マインド・ザ・ゲーム)の第3話がYouTubeに公開された。今回は、「バスケットボールの進化」をテーマに、現在「マーチ・マッドネス」が佳境を迎えているNCAAやレブロンのNBAキャリア初得点など、盛りだくさんのトピックで送られている。

2人は、お互いが対戦した2009年のプレーオフ、イースタン・カンファレンス決勝のオーランド・マジック対クリーブランド・キャバリアーズの試合を振り返った。「NBAにおいて、スペーシングの概念が変わったのはいつからだと思うか?」というレディックの質問に対して、レブロンは「イーストにいたというのもあるけど、個人的には(当時マジックのヘッドコーチを務めていた)スタン・ヴァン・ガンディーが変えたと思う」と回答した。

アウトサイドにシューターを複数人備えた上で、ドワイト・ハワードを中心としたビッグマンがスクリーンをかけ、ボールハンドラーがピックアンドロールでビッグマンにパスを出す、もしくはパスと見せかけて3ポイントを打つ、といったオフェンスを得意としていた当時のマジックを、レブロンは「まるで今のNBAそのもの」と表現した。

驚きなのが、レブロンは当時の試合を「一度も見ていない」と発言したことである。「(キャブスの敗退が決まった)ゲーム6のあとは怒り心頭でメディアにも出なかったからね」と苦笑いで語ったレブロンだが、試合の映像を一度も見ていないにも関わらず、当時の記憶だけで各チームの選手や戦術を細かく振り返ることのできるバスケットボールIQの高さには、正確な分析でアナリストとして人気を集めるレディックも舌を巻いた。

また、会話の内容はレブロンとドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュの“ビッグ3”によるスーパーチームとなった2010年から2014年のマイアミ・ヒートに及んだ。レブロンの移籍1年目はNBAファイナルでダラス・マーベリックスに敗れ優勝を逃したヒート。その翌年には優勝を成し遂げたが、レブロンはこの背景にヘッドコーチのエリック・スポーストラによる戦術変更とボッシュの自己犠牲があったことを語った。

「スポー(スポーストラの愛称)が俺たちをより良く、正しくオーガナイズされたチームにしてくれた。ファイナルでダラスに負けたあと、彼はチップ・ケリー(アメリカンフットボールのコーチ)からスプレッドオフェンスについて教わり、バスケットボールへの変換を試みたらしいんだ。どんな内容だったかは知らないけど、結果として俺のプレーはこれまでの10倍良くなった。一方で、ボッシュは5番(センター)に転向しなければならなくなった」

それまで主にパワーフォワードとしてプレーしていたボッシュは、2011-12シーズンからセンターとしてプレーし、アウトサイドシュートが可能なストレッチ型のビッグマンへプレースタイルを変更したことで知られている。レブロンは、3ポイントの能力や優れたボールハンドリングで速攻でのドリブルも可能な万能のビッグマンとなったボッシュのスタイルは、現在のニコラ・ヨキッチやバム・アデバヨの礎を築いたと語り、ボッシュを賞賛しつつも、優勝のためにボッシュがポジション変更という自己犠牲を強いられた点については「キャリアで最悪の瞬間」と振り返っている。

群雄割拠のNBAで20年以上トップの座に君臨するレブロンが、このポッドキャストでは生き字引のごとく過去のプレーを感情とともに鮮明に振り返っている。

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