国道交差点の左折レーン、直進自転車にドライバー疑問「法令違反では」 渡り方の正解は

堀川通の左折専用レーンを南行する自転車(2月9日、京都市下京区)

 「堀川五条交差点を自転車で直進する場合、どう渡れば良いのでしょう」。京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」にこんな疑問が寄せられた。堀川通と五条通(国道9号)はいずれも京都市内有数の交通量を誇る幹線道路。自転車は車道通行が原則だが、車よりスピードの劣る自転車で大きな交差点に進入するのは確かに躊躇(ちゅうちょ)する。なすすべはないのだろうか。

 堀川五条交差点(下京区)には横断歩道や自転車横断帯がなく、四方を囲む歩道橋に自転車を押して通るためのスロープは設置されていない。一方、どの方向からも左端の車線は左折専用レーンになっており「常時左折可」の標識が掲げられている。市内では、九条油小路交差点(南区)がよく似た形状だ。

 投稿者は、車で堀川五条交差点をよく通るという北区の会社員男性(62)。五条通を東進中に左折専用レーンを走っていたところ、すぐ左側を自転車が並走していた。交差点で直進するのか左折するのか分からず、見極めるために速度を落とした。「巻き込んでしまわないよう注意した。怖かった」。結局、自転車は直進していった。男性は瞬間的に「何で真っすぐ行ってるんや。法令違反じゃないのか」と感じた。一方、「交通ルールではこの交差点を自転車はどう渡るのが正解なのか」との疑問が湧いたという。

 京都府警交通企画課に確認すると、「道交法では直進や右左折など方向別に車線が区分されている場合、車両はそれに従わなければいけない。ただ、軽車両は除かれている」と回答があった。つまり軽車両に位置付けられている自転車は、左折専用レーンを走っていても車両用の信号に従って直進できる。堀川五条交差点も「自転車が通ること自体は問題ない。自転車も車もそれぞれが安全確認し、気を付けて通行してほしい」とした。

 2月上旬、記者が現場を訪れた。通勤や通学、子どもの送迎など自転車の利用者が多そうな平日午前8時半頃から約30分間交差点を見ていると、ロードバイクなどスピードが出そうなタイプの自転車が数台、左折専用レーンを走行し、そのまま交差点を直進した。左折車に巻き込まれるのを防ぐためかレーンの右寄りを走る自転車も見られた。交通ルールに従って青信号で直進している自転車が対向の右折車にクラクションを鳴らされる場面もあった。いわゆる「ママチャリ」や電動アシスト自転車などは見かけなかった。

 昼夜問わずひっきりなしに多くの車が行き交う堀川五条交差点。事故のリスクを避けて迂回(うかい)する人は多いに違いない。私自身、ルール上は可能でも後ろに子どもを乗せた状態で渡ろうという気には到底なれなかった。

堀川通の左折専用レーンを南行する自転車(2月9日、京都市下京区)

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