リーマンショックにコロナショック…元本割れしても長期分散投資で積立額が4倍に?! ゼロから始める新NISA 「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の違いも解説

政府が掲げる資産所得倍増プランの1つ、「新NISA」がスタートしてまもなく3か月。株価の値上がりもあって今、注目が高まっています。

そこで今回、新しくなったNISAが気になっている方、迷っている方のために「ゼロから始める新NISA」と題し、基礎からポイントをお伝えします。

まずは通常の投資とNISAの違いから押さえておきます。

通常の投資ですと、仮に100万円を投資して10万円の利益が出ますと税金が20%程度かかります。手元に残る利益は8万円ほどになります。一方、NISAは非課税なので10万円はそのまま利益として残ります。

では、2024年1月にスタートした新NISAについてです。

新NISAには、「つみたて投資枠」「成長投資枠」という2つの枠があります。また、旧NISAでは非課税の期間が限定されていましたが無期限になりました。さらに年間の投資枠も大幅に増え「つみたて投資枠」が120万円「成長投資枠」が240万円になっています。この2つをあわせた非課税の保有限度額は、最大1800万円と、旧NISAから大幅に引き上げられています。

では「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は何が違うのか。

「つみたて投資枠」は、金融庁が定める基準を満たし、長期の積み立てに適したとされる投資信託に限定されます。

一方「成長投資枠」は、投資信託に加えて、株式など幅広い商品を購入することができます。「成長投資枠」では「つみたて投資枠」の基準を満たした商品も購入することができます。

リスクをともなう投資に抵抗を感じている人も多い中、金融機関などは初心者向けのセミナーを開くなど、相談を強化しています。

今年1月、愛媛県新居浜市内で開かれた資産運用に関するセミナー。

今年から新しくなったNISAなどについて知ってもらおうと、地元企業の従業員を対象に伊予銀行が開きました。税制優遇の仕組みや、リスクなどについて説明を聞き、参加者は、投資に対し抱いていた抵抗感が少なくなったと話します。

(セミナーの参加者)
「最初は少し怖いイメージがあったが、ハードルが下がった。銀行の利率が低いので、少しNISAは魅力的に感じた」

また、参加した人たちからは、円安や物価の上昇で預貯金の価値が目減りしてしまうことへの不安と投資に前向きな声が多く聞かれました。

(セミナーの参加者)
「円安というところで価値が下がっているところや、日々の生活の中で購入できる物の金額がどんどん上がっていく中で、自分でも投資に踏み出していこうと思った」

次に、ファイナンシャルプランナーでオフィスツクル代表の内田英子さんに、新NISAをはじめる際の注意点などを聞きました。ポイントは3つです。

まず1つ目は「投資の目的を明確にする」ということです。NISAはあくまでお得に投資ができる“箱”です。目的によって望ましい運用方法が変わってくるということです。

2つ目は、NISAは主に株式投資がメインになるので「必ずリスクがある」ということです。このリスクについて正しく理解する必要があります。

そして、3つ目は「金融機関選び」です。事前にじっくり内容を詰めて自分に合ったやり方で、というのが大切になるとのことです。

では、始めるためには何が必要となるのでしょうか。新NISAを始めてから運用までの流れを説明します。

まず、新たに始める人は金融機関でNISA口座を開設する必要があります。

銀行や証券会社、それから通常の窓口とインターネット、様々な選択肢がありますが、どう選んだら良いのでしょうか。

(内田英子さん)
「NISA口座というのは、銀行でも作れますし、証券会社でも可能です。証券会社でも、ネット証券や、対面取引もできる証券会社なのか、ということで選択肢はかなり多いですね。ただ、この金融機関によって違いもあります」
「例えば1つ目、取り扱い商品についてどういったラインナップを揃えているのかというところを比較検討していただければと思います」
「2点目は手数料です」
「3点目はサービスと利便性です。積立投資をするにあたって、各社、毎月いくらから積み立てができるのか、最低積立額が違います。あるいは、毎月積み立てるというのが一般的な方法なんですけれども、金融機関によってはですね毎日積み立てたりと、毎週積み立てるということも可能です」
「最後に、クレジットカード積立投資をするという方最近若い方を中心に増えているんですけれども、クレジットカードで積立投資ができるのかどうかというのも金融機関によって違います」

―――投資方針を立てるにあたって、どういった点に気を付けたら良いか

(内田英子さん)
「やはり、目的に合わせたやり方を具体的に決めておくことが大切と思います。基本的には、十分にリスク分散を行った上で、長期投資を行うというところなんですけれども、あらかじめ投資方針として、いつ、いくら拠出してそして出口はいつなのか、どのように迎えるのかっていうところも、明確にイメージしていただければと思います」

長期運用とリスクの分散が大切、という話でしたが、実際に運用を続けた場合、どのような結果になるのでしょうか?

「全世界株式インデックス」と呼ばれる株価の指数を元に、過去20年間毎月3万円ずつ世界の株式市場に分散投資した場合のシミュレーションでは、今年2月の時点で見ると、総投資額723万円に対し時価総額は2849万円なので、4倍近くに増えていることがわかります。

ただ、内田さんによりますと、このシミュレーションは過去の結果に基づいたものなので、これからの投資成果が約束されるものではありませんし、税金などは一切考慮していないということは注意してほしい、ということでした。

(内田英子さん)
「やはり長く積立投資というものを続けていただくことで、例えば、過去にリーマン・ショックという大きな下落相場がありました。こういったときにも、元本割れしている期間が2007年、2008年ぐらいから始まって4年間ぐらい続いている期間がありましたが、積立投資を続けることによって、例えば、先だって、記憶に新しいコロナショックというのがありましたけれども、そういったときにも元本割れすることなく、結果的に4倍近くの価格になっているということがわかるかと思います」

自分の目で見てしっかりと比較検討をして、投資目的を明確にした上で、長期積立分散投資を実践してほしいとのことでした。

※投資には元本保証及び利回り保証のいずれもなく、元本割れが生じるリスクがあります。各ファンドの「目論見書」をご確認のうえ、ご自身で投資判断を行ってください。

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