プレミアリーグが導入検討の“ぜいたく税”、英記者の見解は? 「“ビッグ6”以外のクラブも夢を持てる」

写真:プレミアリーグはぜいたく税を導入するのだろうか? ©Getty Images

プレミアリーグが導入を検討しているという“ぜいたく税”について、イギリス人記者のマイク・キーガン氏が持論を述べた。

イギリス紙『デイリー・メール』は、「プレミアリーグが『収益性と持続可能性に関する規則(PSR)』の見直しを考えており、勝ち点剥奪処分の廃止とぜいたく税の導入を検討している」と報道。今季終了後の会議で導入検討の議論が行われる見通しを示した。

今季、プレミアリーグではPSRに違反したとして、すでにエヴァートンが勝ち点6、ノッティンガム・フォレストが勝ち点4の剥奪処分を受けている。これにより、各クラブは処分を受けるリスクを冒さないようになり、実際に今冬の移籍市場では例年ほど活発な補強が見られなかった。クラブの収益性と持続可能性を確保することは重要である一方、PSRを気にするあまりに魅力的な選手を獲得しにくくなったり、選手の流出によりプレミアリーグの競争力自体が下がるのではないかという懸念も広がっている。

そこで導入が検討されているのがぜいたく税だ。一定の支出額を超えたクラブに金銭的な罰則を課すものの、クラブに罰金を支払うだけの資金があれば、その後も自由に支出を続けることができるようになる。また、ぜいたく税で徴収された資金は規則を遵守したプレミアリーグのクラブに再分配されるだけでなく、財政危機に陥ったクラブを支援する緊急基金としても活用される。

『デイリー・メール』にコラムを寄稿しているキーガン氏は「ぜいたく税が導入されれば、“ビッグ6”(マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、リヴァプール、アーセナル、チェルシー、トッテナム)以外のクラブも夢を持てるようになるだろう」と、自身の見解を述べた。

また、同氏は「PSRに苦しめられているのはエヴァートンとノッティンガム・フォレストだけではない」と主張。EFLチャンピオンシップ(実質イングランド2部リーグ相当)の事例を引き合いに出した。

「資金難にあえぐEFLのあるクラブの会長は、最高の若手選手1名をプレミアリーグのチームに売却する予定であることを明かしてくれた。両クラブは移籍金について合意しており、その資金があれば経済的な不安なくシーズンを乗り切ることができるはずだった」

「しかし、エヴァートンの勝ち点剥奪処分のニュースが飛び込んでくると、このオファーは白紙に戻された。プレミアリーグのクラブはPSR違反に怯え、EFLのクラブは資金を得る別の方法を見つけなければならなくなった」

すでに、スポーツ界ではアメリカのメジャーリーグ(MLB)や北米バスケットボールリーグ(NBA)などでぜいたく税が導入されており、給与上限額を超えたチームに段階的なペナルティが発生するルールが定められている。プレミアリーグは、リーグとしての競争力を維持しつつ、クラブ間の格差を是正するという難題を解決できるのだろうか。

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