日本を代表する司令塔・町田瑠唯、Wリーグのプレーオフへ

富士通にとって17年ぶりのレギュラーシーズン1位通過

Wリーグは3月17日のレギュラーシーズン最終戦まで上位チームの順位が確定しない激戦だったが、プレーオフに進出する上位8チームは1位/富士通 レッドウェーブ、2位/デンソー アイリス、3位/ENEOSサンフラワーズ、4位/トヨタ自動車 アンテロープス、5位/シャンソン化粧品 シャンソンVマジック、6位/トヨタ紡織 サンシャインラビッツ、7位/日立ハイテク クーガーズ、8位/アイシン ウィングスになった。そして、3月30日、31日に高崎アリーナで行われたプレーオフのセミクォーターファイナル、クォーターファイナルを勝ち抜いたのは、ENEOS、シャンソンの2チームだった(ステップラダー方式のため、富士通、デンソーはセミファイナルから登場)
※この原稿は月刊バスケットボールWEB(https://www.basketball-zine.com/)に掲載されたものです

そこで17年ぶりにレギュラーシーズン1位の座をつかんだ富士通の司令塔・町田瑠唯に最終戦の感想、プレーオフへの思い、そして、第25回公式プログラムの巻頭企画、Wリーグ総選挙の“ゲームメイク部門”で1位に選出された気持ちをインタビューした。

レギュラーシーズンの最終戦でシャンソン化粧品と対戦した富士通は、司令塔の町田がチームをコントロールし、食らいついてきたシャンソンを振り切った。町田は12月14日の皇后杯(準々決勝)で左足首を痛めて、2月24日の山梨クィーンビーズ戦で復帰。その後、プレーオフに向かって徐々に調子を上げている状況の中での最終戦で、町田のあげたアシストは13本。赤木里帆の3Pシュートや、ベテラン宮澤夕貴の得点を引き出すなど、本来の見事なパスを見せくれた。

――まずはレギュラーシーズン1位通過の率直な感想をお話しください。

「タフなゲームを勝ち切れた(70-63)ことはチームにとってすごくプラスになりましたが、内容的にはあまり満足していませんし、自分のアシストについても全然意識していなかったです。ただ個人的にはシュートの感覚があまりよくなかったので、(今日のシャンソン戦は)できればそちらの調整をしたかったというのはありました。でも、その分みんながシュートを決めてくれたり走ってくれたりしたので、そこで得点できたのはよかったです」

――(シャンソン戦は)内尾聡菜選手が欠場していました。BTテーブス・ヘッドコーチが、『内尾の存在の大きさを選手たちは感じたのでは?』とおっしゃっていましたが……。

「それは私が一番感じていたと思います。ディフェンスの面では要になってくれていて、絶対に必要な存在です。オフェンスでもチームのエースと同じくらいの活躍をしてくれています。もちろん内尾を必要とするタイミングはあると思いますが、でもその分、他の選手が踏ん張ってできないところはカバーしてやっていたので、チームの層としてレベルアップしていけるのではないかと思います」

――テーブスHCが『自分と町田はレギュラーシーズンで1位になったことがないから』とおっしゃっていましたが、町田選手にも1位のこだわりはありましたか?

「そうですね。レギュラーシーズン1位は私も初めてのことですごく素直にうれしいですけど、正直、これがゴールではありません。これからが本当に大事になってくるので、そこで優勝を取れるように挑みたいと思います」

――レギュラーシーズンを振り返って、またプレーオフに向かってひと言お願いします。

「今シーズはケガでチームにすごく迷惑をかけていましたから、復帰して戻った時には今まで以上にチームに貢献できるようにというのを心がけてやってきました。プレーオフについては、どの相手との対戦でも自分たちのやるべきこと、自分たちのバスケットを、誰が出てもできるようにしたいです。あとはレギュラーシーズンで残った課題をしっかり修正して、プレーオフに向けてチームとしてステップアップしていけるように頑張っていきたいと思います」

Wリーグ総選挙1位は「メッチャうれしい」と笑顔がはじけた

――ところで、第25回リーグ(2023-24)公式プログラムの巻頭企画、Wリーグ総選挙の“ゲームメイク部門”で、全選手による投票で町田選手が1位に選ばれました。町田選手はケガなどもありなかなか感想をお聞きできなかったのですが、改めて選ばれた気持ちをお聞かせください。

「素直にメッチャうれしいです(笑) 選手の皆さんから投票していただけて本当にうれしいですよ。ポイントガードにはうまい子がたくさんいますし、いい選手がいる中で皆さんに選んでいただけたのはやっぱりうれしいなって思います」

――逆に町田選手はアイシンの吉田亜沙美選手を推していたと思いますが、吉田選手のプレーで見習いたいのはどんな部分ですか?

「ゲームメイクのところだけでなく、パスの出し方もいろいろな種類がありますし、大事なところで得点を決め切る力など、学べるところが本当に多いです。引退してブランクはあると言っていましたけど、短いプレータイムの中でもゲームメイクや流れを変えるプレーをしていて、まだまだそこは健在です。学べるところはあると思って見ていました」

――町田選手は皇后杯でケガをしたため、日本代表の強化合宿中も他の選手とは別メニューでのリハビリや、OQT(パリオリンピック世界最終予選)に出られず残念なお気持ちだったと思います。OQTはパリオリンピック代表の選考レースでもありましたが、オリンピックへの意気込み、今のお気持ちを教えてください。

「そうですね、パリへの思いは強くなりましたし、やっぱり代表メンバーとしてオリンピックに行きたい気持ちはすごく強いです。ただ今はこのチームでWリーグ優勝をすることが一番です。ですから、プレーオフに向けてしっかりと準備をして試合ができれば、それが日本代表などにもつながっていくと思います。まずは目の前のことをやり切りたいですね」

――テーブスHCにお聞きしたら、町田選手は『シュートがまだまだ(本調子ではない)』とおっしゃっていました。

「そうですね。全然自分のリズムがまだつかめていない感じはあります。練習の時も試合の時もあまりいい感覚ではないので、多分それが試合にも出ていて、迷いながら打っているというのもありました。そういうところ練習でしっかりクリアにしていければ試合にもつながると思います」

――最後に。このような時に聞くのは申し訳ないのですが、元チームメイトの田中真美子(昨シーズン引退)さんがドジャースの大谷翔平選手とご結婚されましたね。

「本当に素直におめでとうという気持ちです。たまたま結婚相手が大谷選手だっただけなので、結婚したことを祝福したいと思います。相手云々ではなく本当に幸せになってほしいです」

――彼女との思い出でエピソードがあったら教えてください。

「マナ(田中真美子)とは2人で出かけたこともあって、ドライブしながらどこかに行って、ザリガニ釣りみたいなことをしたことがあります(爆笑) 自分とマナの考え方や感覚はすごく私は似ているなと思っているので、こうやって騒がれているのも彼女自身はちょっと嫌なのかなと思うし、大変なのかなと思います」


Profile
まちだ・るい◎1993年3月8日生まれ/162㎝/ポイントガード/北海道旭川市出身/旭川西御料地ミニ→緑ヶ丘中→札幌山の手高→富士通(2011年入団)/高校時代からそのポテンシャルの高さを認められ、リオ五輪(ベスト8)、東京2020五輪(銀メダル)に出場したほか、ワールドカップやアジアカップなど日本代表として数々の国際大会で活躍。さらにWNBAのワシントン・ミスティックスでもプレー経験を持つ/Wリーグでは新人王、アシスト王7回、ベスト5など多くの個人賞を受賞している

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