「飼い主同意得ること怠った」 ウサギ手術で病院側に注意義務違反 獣医師らに賠償命令

京都地裁

 動物病院で同意確認が不十分なまま受けた手術でペットのウサギが死んだとして、飼い主だった奈良市の夫婦が動物病院の経営会社(奈良市)と獣医師2人に計660万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は5日までに、動物病院側の手術前の説明不足を認めて計66万円の支払いを命じた。判決は3月26日付。

 判決によると、夫婦は2021年8月、3歳の雌ウサギが餌を食べないことから京都府精華町の動物病院を受診。腸内に詰まった糞(ふん)を取り除くため獣医師が腹部を切開したところ手術中に死んだ。飼い主側は、手術は誤った選択で、ウサギが死ぬ危険について説明が不十分だったと訴えていた。動物病院側は、損害賠償を負うことは争わないとしていた。

 判決理由で、中山裕貴裁判官は、手術が許されない状況だったとは言い切れないとした一方、内科的治療の選択肢もあったのに獣医師らは手術を勧めたと指摘。手術の危険性を十分に説明して飼い主の同意を得る義務があったと判断し、精神的苦痛に対する慰謝料として1人33万円の賠償を認めた。

 5日、飼い主の50代夫婦が京都市内で記者会見し、妻は「ウサギは私たちにとって子ども同然だった。動物病院には手術の危険性を隠すことなく説明してほしい」と訴えた。

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