【桜花賞/追い切り診断】世代上位の阪神JF好走馬に辛口「B」評価 「ギリギリの帳尻合わせに不満」

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■アスコリピチェーノ

【中間調整】祖母リッスンなど牝系に英愛の活躍馬多数。叔母にタッチングスピーチ(ローズS勝ち)がいるという良血馬だ。6月24日、東京芝1400mの新馬戦を快勝。デビュー2戦目の新潟2歳Sは枠なりに外へ大きく回すロスがあったが、直線で長くいい脚を使って勝利を収めた。そこから3カ月半ぶりの阪神JFは自身初の右回り、初の関西遠征とあって3番人気に留まっていたが、ここでも非凡な決め手を発揮し接戦をモノに。無傷の3連勝で2歳女王の座に輝いた。

直行での桜花賞進出は予定通り。本来は2月下旬にトレセンに戻る予定だったようだが、熱発があり栗東入厩が3月中旬にズレ込んでいる。3月15日に栗東坂路で15-15を消化したのが初時計。22日の1週前追いは北村宏騎手が騎乗し、CWで併せ馬を行った。同時に栗東入りしている僚馬ルージュエヴァイユ(大阪杯出走)を追走。直線では熱のこもった追い比べとなったが、手応えはルージュが優勢。なんとか併入としたが、やや素軽さに欠ける動きだった。

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【最終追い切り】レース当週も栗東CWで併せ馬。古馬2勝クラスを追走し、序盤から体を大きく使って速いラップを刻んで進んでいく。余力を残した状態で併走して、ラストではさらに重心をグンと沈め手応え優勢で併入とした。

【見解】最終追いでは一定の素軽さがあり、伸び自体も迫力あるものだった。このあたりはさすがGI馬だ。しかし調整過程がズレ込んだことによる“ひずみ”はやはり気になるところ。1週前の時点では明らかに重苦しさがあったし、本来オーバーワークを避けて微調整に徹したい最終追いで1週前より速い全体時計を出さざるを得なかったあたり、ギリギリの帳尻合わせには不満が残る。能力の差で勝ち切ってしまっても不思議はないが、人気になり過ぎるなら嫌っておくのも一手か。

総合評価「B」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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