商店街を襲った火事から半年…復興に向けて 再建悩む声も【新潟・魚沼市】

火事で2階と3階の住居部分が全焼した若井菓子餅店

魚沼市中心部の商店街で13棟を焼いた火災から、半年が経過しました。少しずつ復興への歩みを進める一方で、全焼して再建が進んでいない建物もあります。商店街のいまを取材しました。

魚沼市小出島の清花園。忙しい年度末を迎えていました。

■清花園 杵渕豊社長
「4月4日は(学校の)離任式があって先生に異動があって、毎年3月の最終週はバタバタとしています。」

去年9月26日未明、魚沼市の南本町商店街で発生した火事。13棟を焼き、杵渕さんの店舗兼住宅にも燃え広がりました。1階の店舗部分は被害が小さかったものの、2階と3階の住宅部分が全焼。家族7人でアパートでの暮らしを余儀なくされました。火災から半年がたつが…
■清花園 杵渕豊社長
「長かったという感じ。結構待つ時間が多く、物事が割と進まないことが非常にあって長かった。」

3月、2階の改修工事が完了しました。
■清花園 杵渕豊社長
「こちら側が水で被害があって、まるっと変えた。」
■池川記者
「普通の住居スペースに・・・」
■清花園 杵渕豊社長
「・・・戻りましたね」

両親は元の家で生活を再開。杵渕さん夫婦と子供が住む3階部分の工事も、5月には完了する見込みです。

■杵渕社長の母ヒロ子さん(76)
「自分の部屋があるのがありがたいし、ご飯も楽々食べられる。風呂に入って足伸ばしていると幸せで、うちがいいなと思って感謝している。」

改修にかかる費用は、約5000万円。火災保険に市の助成金などを加えても足りないため、ローンで工面するといいます。また店の業務でも費用がかさみます。

■清花園 杵渕豊社長
「倉庫に花用の冷蔵庫がおいてあったが焼失した。冬はよかったがこれから気温が高くなってくると花を補完する場所が足りず、どのタイミングで直そうか考えている。」

冷蔵庫の焼失で、葬儀などの大きな注文が受けられなくなり売り上げは火事の前から約1割減少しました。元の生活に戻るにはもう少し時間がかかります。

清花園の裏にある若井菓子餅店。火事で2階と3階の住居部分が全焼しました。
■若井菓子餅店店主 若井文康さん
「(火災から)1カ月後くらいには営業再開できて、年越しもできたし入学や卒業用の大福もちも対応できたので、もう半年かという感じ。」

この日は、法事用のおこわ作り。得意先の商店に届けました。新型コロナ禍で結婚式などの大量注文が減り、売り上げは以前の6割程度に落ち込みました。そこに起きた火事でした。
■若井菓子餅店店主 若井文康さん
「自分が一人で、(スタッフの)おじちゃんやおばちゃんと一緒にやるくらいでちょうどいいくらいの仕事はある。」

■若井菓子餅店店主 若井文康さん
「ここが私たちの部屋で、ここで寝ていて火事を発見した。燃えててなんだが、仕事場が燃えてなかったのが不幸中の幸い。(店がある)下まで燃えていたらどうしていいかわからなかった。」

建物は3階をなくして2階建てに改修する予定で、費用は2000万円ほどかかるとみられています。
■若井菓子餅店店主 若井文康さん
「この上をどういう風にしようかというのを考えるのも楽しい。こうやって案が来るとわくわくする。飲み会でもできれば楽しい。」

今は、市内のアパートで一人暮らし。改修工事は6月頃に始まる見込みです。
■若井菓子餅店店主 若井文康さん
「アパートからここまで近いといっても5分くらいかかるので、お客さんが急にきて『玄関にいるんだけど』と言われ『すぐ行きます』と対応している。半年後の冬の段階で元のようになっていたらいい。」

一方で再建が進んでいない場所も。全焼した6軒の建物があった場所は更地のままです。
■清花園 杵渕豊社長
「全然この先どうなるか見えてこないですよねこの場所がね。早く新しい商店街として機能するようになってほしい。」

商店街の再生プロジェクト事務局によると取り壊された6軒のうち、再建を決めたのは1軒のみ。もう1軒は現在も迷っていて、4軒は再建をあきらめました。資金面や跡継ぎの問題があったということです。

一方、明るい材料も。来年春には、近くに生涯学習センターが完成する予定で人の流れが期待できます。
■南本町商店街火災再生プロジェクト 大野拓也さん
「少しでも賑わいが南本町に戻ってくるようにしていきたい。」
■若井菓子餅店店主 若井文康さん
「記念広場みたいにして公園にするとかお祭りをするとか、そういう風なやり方でやっていったらいいのではないか。」

再び賑わいを。商店街の取り組みは続きます。

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