記録的注目度…米大学女子トップスターの試合がヨキッチの優勝ゲームの視聴者数を上回る

現在、NCAAの女子バスケットボールは過去に類を見ない盛り上がりを見せている。その熱量を生み出しているのが、アイオワ大学のケイトリン・クラークと、ルイジアナ州立大学(LSU)のエンジェル・リースの2大スターの存在である。

女性版ステフィン・カリーと称されるクラークは、NCAAWの歴代最多得点記録を更新した女子大学バスケ史上最高傑作である。2023ー24シーズンの平均スタッツは、32.0得点、7.3リバウンド、9.0アシストとなっており、得点とアシストはいずれもキャリアハイで、得点に関してはリーグ1位の成績。また、厳しいマークを受けながらも3ポイント成功率は38.0パーセントをマークしている。

一方のリースも、スター性は負けていない。メリーランド出身のフォワードは、バスケットに向かう機動力と、ゴール下の嗅覚、そしてガードでプレーしていた経験からの視野の広さが魅力。シーズンスタッツは18.6得点、13.4リバウンド、2.1アシストの平均ダブルダブルで、最近はシャキール・オニールとアレン・アイバーソンの2人をバスケットボール部門の社長と副社長に迎えたリーボックとのNIL契約が広く報じられたばかりだ。

この2人は因縁の関係にある。リースとクラークは昨年、NCAAトーナメントの決勝で激突。試合はLSUに軍配が上がり、ナショナルタイトルはリースの手に渡ったが、第4クォーターでリースがクラークに対してリング獲得のアピールと、WWEスターのジョン・シナを彷彿とさせる挑発を披露したシーンは今でも多くの人の記憶に残っていることだろう。

昨年の決勝ではリースがクラークを挑発[写真]=Getty Images

両者は、今年のトーナメントのエリート8でも相まみえた。互いに大学ラストイヤーであり、昨年の激闘もあって、注目度は最高潮。ファイナル4の出場権をかけたプレッシャーの中、リースは17得点、20リバウンドを記録し存在感を示すも、クラークの活躍はそれさえもかすめるものだった。スタッツは9本の3ポイント成功を含む41得点に、12アシストのオマケつき。さらに、この記録をもってオクラホマ大学に所属していたテイラー・ロバートソンが所有する537本の3ポイント成功数を更新した。この卓越したパフォーマンスはNBAプレーヤーたちにも衝撃を与え、ルカ・ドンチッチに「彼女は僕よりもシュートがうまい」と言わしめた。

彼女たちの対戦は、視聴率にも現れている。タイガース対ホークアイズの試合は、最高視聴者数が1230万人に到達。これは『ESPN』でこれまで放送されたカレッジバスケットボール史上、最も多い視聴者数を集めたという。

これだけどれだけ偉大な記録かと言うと、昨年のワールドシリーズ(MLBの優勝決定戦)の1試合あたりの平均視聴者数910万人を遥かに凌駕するものだ。また、ニコラ・ヨキッチが初タイトルを獲得した2023年のNBAファイナルでも1160万人であったことを踏まえると、アメリカがクラークとリースにどれだけの熱視線を送っているか、お分かりいただけるのではないだろうか。

2012年以降に『ESPN』で放送されたバスケットボールでこの一戦の視聴者数記録を上回ったゲームは、クリーブランド・キャバリアーズとボストン・セルティックスが対峙した2018年のイースタン・カンファレンス決勝第7戦(1360万)ただ1試合のみである。

クラークとリースは、WNBAでもしのぎを削り合うことだろう。プロ入り後もこのライバル関係は数々のハイライトを生み出してくれるに違いない。

文=Meiji

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