霍州窯が伝える中国北方「細白磁」の歴史と輝き

霍州窯が伝える中国北方「細白磁」の歴史と輝き

霍州陳村磁窯跡出土の細白磁高足杯(元代)。(資料写真、太原=新華社配信)

 【新華社太原4月5日】中国山西省で金王朝から明王朝にかけて主に白磁を生産した霍州窯(かくしゅうよう)の窯跡遺跡、霍州陳村磁窯跡が、3月末に発表された2023年度中国十大考古新発見に選ばれた。初めての体系的な考古学調査で宋、金、元、明、清各時代の製品の様相と技術的特徴を明らかにしたことが評価された。

 遺跡は同省霍州市白竜鎮陳村にあり、全国重点文物保護単位(国宝・重要文化財に相当)に指定されている。山西省考古研究院と北京大学、復旦大学、霍州市文化財部門が22~23年に共同で計600平方メートルを発掘調査。金代から明代の窯業遺構を多数発見し、大量の磁器片と窯道具が出土した。

霍州窯が伝える中国北方「細白磁」の歴史と輝き

霍州陳村磁窯跡出土の細白磁礬紅(ばんこう)彩五爪雲竜文碗片(明代)。(資料写真、太原=新華社配信)

 霍州窯は北宋後期に焼成が始まり、金代に成熟期を迎えた。表面がきめ細やかで薄い白磁「細白磁」が主流で、白い胎土は硬く緻密、器形は精巧かつ多様、釉層は薄く光沢を持ち、釉色は清らかでさっぱりしている。見込みには水波禽鳥や纏枝花卉(てんしかき)、蓮花童子、ウサギなどの動物文が細凸線で印花(型押し)され、文様の間に刻印された「郭窯磁器」「廉家」「郭七」などの姓氏刻印が工房を単位とする窯業生産の形態を反映している。

 元代に最盛期を迎え、製品と製品が持つ美的感覚は社会の風潮をけん引した。霍州陳村磁窯跡の発掘責任者を務めた劉岩(りゅう・がん)氏は「元代は白を尊び、白を吉とする風潮があった。当時、国内で唯一細白磁を生産していた霍州窯は色で美意識を体現し、高足杯や高足碗など元代特有の器物を生産することで社会の風潮も反映した」と説明した。

霍州窯が伝える中国北方「細白磁」の歴史と輝き

霍州陳村磁窯跡出土の細白磁「郭窯磁器」商標款印花盤(金代)。(資料写真、太原=新華社配信)

 元代霍州窯の細白磁は造型が規則正しく、ろくろ挽きが精緻で、目跡も小さい。印花装飾は細凸線から浅浮き彫りへ変化し、魚文や並蒂の牡丹、蓮花などが見られるようになった。流通範囲も広く、元の大都(現在の北京市)や中都(河北省張北県)、集寧路古城(内モンゴル自治区チャハル右翼前旗)などの遺跡でも出土し、高級市場で取引されていたことを示している。

 劉氏は「霍州窯は北方地域の細白磁の空白を埋め、北方の細白磁生産は最後のピークを迎えた」と語った。

霍州窯が伝える中国北方「細白磁」の歴史と輝き

霍州陳村磁窯跡出土の細白磁蓮華文印花盤(元代)。(資料写真、太原=新華社配信)

 明代では生産規模が拡大し、日用品を中心に祭祀(さいし)用器や高級注文品も生産。清の順治13(1656)年の紀年銘がある残器は少なくとも清初まで生産が続いたことを物語っている。

 劉氏は、金、元、明など時代ごとに鮮明な特徴を持つ霍州窯は中国陶磁器史に重要な貢献をしただけでなく、中華文化の多元一体プロセスの鮮やかな物質的担い手、生き生きとした証になったと説明した。(記者/王学濤)

霍州窯が伝える中国北方「細白磁」の歴史と輝き

霍州陳村磁窯跡出土の嬰戯蓮文(えいぎれんもん)が施された細白磁印花盤(金代)。(資料写真、太原=新華社配信)

霍州窯が伝える中国北方「細白磁」の歴史と輝き

霍州陳村磁窯跡の発掘エリア(部分)。(資料写真、太原=新華社配信)

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霍州陳村磁窯跡出土の細白磁魚文印花盤(元代)。(資料写真、太原=新華社配信)

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霍州陳村磁窯跡出土の水波人物文が施された細白磁印花盤(金代)。(資料写真、太原=新華社配信)

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霍州陳村磁窯跡出土の白地褐花高足杯(明代)。(資料写真、(太原=新華社配信)

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霍州陳村磁窯跡出土の水波禽鳥文が施された細白磁印花小碗(金代)。(資料写真、太原=新華社配信)

霍州窯が伝える中国北方「細白磁」の歴史と輝き

霍州陳村磁窯跡出土の雲鶴文盤磁片(明代)。(資料写真、太原=新華社配信)

霍州窯が伝える中国北方「細白磁」の歴史と輝き

霍州陳村磁窯跡出土の金代細白磁に施されていた嬰戯蓮文(えいぎれんもん)。(資料写真、太原=新華社配信)

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