水俣病特別措置法の救済策を巡る集団訴訟(熊本訴訟)で鹿児島、熊本両県の原告らが熊本地裁判決を不服として控訴したことを受け、伊藤信太郎環境相は5日の記者会見で「現時点では控訴状が届いていないためコメントは差し控えたい」と述べた。
伊藤氏は「判決内容は精査の途中段階」とし、「今なお訴訟を行う方がいる事実を重く受け止めている。原告がさまざまな病状で苦しんでいることは胸の痛む思い」と語った。
原告144人全員の請求を棄却した3月22日の熊本地裁は、特措法の対象地域外を含む25人の罹患(りかん)を認めた一方、損害賠償請求権が消滅する20年の除斥期間を理由に訴えを退けた。原告143人は今月4日、判決を不服として福岡高裁に控訴した。