「どのようなお子さんでも住み慣れた地域で過ごしていただけるように」 障害の特性や子どもの興味に合わせた設備を導入 児童福祉の拠点施設開所 広島市児童相談所&こども療育センター

広島市東区にある児童相談所とこども療育センターなどの改修工事が終了し、5日、開所記念式典が開催されました。

老朽化などで、6年の歳月をかけた改修工事が終わり、2.2倍の広さになった新しい施設は、4月1日から供用されています。

開所式で広島市の 松井一実 市長は、「未来を担う子どもたちのために最善の取り組みを考えていきたい」とあいさつしました。

こども療育センターには、利用者数の増加に伴い、発達障害の子どもに対応したクラスが新設されたほか、診察室が増室されました。

また、障害の特性や子どもの興味に合わせて、発達の促進や訓練に取り組めるようにさまざまな設備が導入されました。

担当者
「超重症児さんでも、指1本動かしたら身体の回転が始まるとか、目線をちょっと上げただけで身体が動いていくような、水の中で運動が体験できるということもできますし」

浮力によって、少しの力でも身体が動かせるように、プールには十分な深さが確保され、親子が目線を合わせて取り組むことができるということです。

聴覚検査室では、小さな子どもがヘッドホンをつけられなくても、音が聞こえたかどうかを確認することができ、反応に合わせていろんな仕掛けを動かすことで飽きさせません。

担当者
「いろいろ光ったり、動いたり、電車が走ったり。楽しくできるようにというのが大人の方の検査とは違うところかなと思います」

広島市こども未来局の 奥田恵理子 課長は、子どものことで悩む家族や子ども自身に、開所をきっかけにこの支援施設の存在を知り、気軽に相談してほしいと話します。

広島市 こども未来局 奥田恵理子 障害児支援担当課長
「どのようなお子さんでも住み慣れた地域で過ごしていただけるように、この施設を拠点として市として連携を持って取り組んでいきたい」

一方、児童相談所には、プレイルームや箱庭療法室が新設され、相談室も増室しました。

広島市の児童虐待の相談・通告受理件数は、2003年から2022年までの20年間で8倍近くに増えています。

広島市では、2024年度から相談・判定の窓口を地域別に2系統に分け、よりスムーズな対応を目指します。

広島市児童相談所 力善安希乃 所長
「軽いうちからいろんな相談・心配事が寄せられて、早くにこちらも対応ができているという意味では、必ずしも件数が増えること自体が悪いことだけではない。今回、リニューアルもされたので、より相談しやすい、親しみやすい場所になったと感じていただいて、しんどいこと、心配なことが気軽に相談できるような、相談機関でありたい。児童相談所にはさまざまな専門家がいるので、悩み事や負担が軽減するように一緒に考えてさせていただきたい」

新しい施設には、そのほか心身障害者のデイサービスも併設されていて、広島市の福祉を担う一大拠点となりそうです。

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