福井太智も鈴木唯人も不在…日本サッカー “黄金世代” 揃わず、五輪8大会連続出場が大ピンチ

U-22 国際親善試合に出場した福井太智(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

4月4日、日本サッカー協会(JFA)は、パリ五輪アジア最終予選を兼ねたU-23アジア杯(15日開幕・カタール)に臨む海外組5人を含むメンバー23人を発表した。

だが、このメンバー23人に落胆したサポーターは多かったはずだ。そこにいるべきメンバーがいないという現実があったからだ。

1999年、ナイジェリアでおこなわれたワールドユース選手権で、日本は国際サッカー連盟(FIFA)主催の大会では初めて準優勝という輝かしい結果を残した。

アフリカでの開催ということで、その悪辣な環境のなかでも若き日本イレブンはたくましく戦い、試合を重ねるごとに成長していった。

そして、なによりもメンバー構成が素晴らしかった。主将・小野伸二を中心に稲本潤一、遠藤保仁、小笠原満男、そして高原直泰と、その後、長きにわたって日本サッカーを支えたメンバーが集結した。

サポーターたちは「過去にこれだけのメンバーが揃ったことはない」「これこそ “黄金世代” だ」と声を揃えたものだった。

そして、パリ五輪に挑む日本代表の面々。今回招集された23人は、Jリーグ、海外で結果を出している実力派揃い。だが、さらにその上を行くメンバーが召集されていないのだ。

選出漏れのメンバーを挙げていくと、ドイツの名門バイエルンと契約し、その後はポルトガルのポルティネンセにレンタルされて主力として活躍する福井太智。

日本五輪代表の立ち上げ期から主力を担ってきた鈴木唯人(ブレンビー)と斉藤光毅(スパルタ)。

独ブンデスリーガで早くもデビューした福田師王(ボルシアMG)。オランダでその才能を発揮しまくる三戸舜介(スパルタ)。身長187センチの長身に加え、圧倒的な身体能力を誇るチェイス・アンリ(シュトゥットガルト)。

さらに、A代表でも活躍する久保建英(レアル・ソシエダ)、鈴木彩艶(シントトロイデン)も年齢から言えば出場の資格はあった。

だが、ある理由でこれだけのメンバーが召集できなかったのだ。

それはU-23アジア杯カタール大会は、国際Aマッチデー期間外で選手派遣義務がなく、海外クラブでプレーする彼らの招集が制限されたからだ。

「2023年11月に清水でおこなわれたアルゼンチン戦で、日本は海外組が多く出場し、相手もフルメンバーを揃えていました。アルゼンチンはパリ五輪の優勝候補筆頭でしたが、その相手に5-2と圧倒しました。

試合後、大岩剛監督は『パリでは優勝を目指す』と語りましたが、この試合の戦いぶりを見れば、その可能性は大いにあると思えました。それくらいメンバーが揃っていた。1999年の “黄金世代” に勝るとも劣らないほどだったんです。

ところが、主力の海外組を召集できないとなれば、パリ五輪金メダルどころか、出場権獲得さえ危ういものとなってきます」

予選は中国、UAE、韓国の順に中2日でこなす。しかもカタール開催だけに高温多湿の気候条件も日本にとっては大敵となる。出場枠はわずか3。

前評判を覆して、五輪8大会連続出場を果たせるか――。

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