住民が喜びの “鐘つき” 震災で途絶えた “鐘の音” 鐘楼堂の修復終わる 富山・氷見市

富山県氷見市姿地区に響きわたる鐘の音…。この地区にある長福寺の鐘が鳴るのは能登半島地震の発生以来、実に3か月ぶりです。

長福寺の鐘楼堂は、地震でつり鐘を支える4本の柱のうち2本が基礎となる石から大きくずれ動き、倒壊の危険性が高いため立ち入り禁止に…。

寺では、午前6時に鐘を鳴らす慣習を65年間毎日続けてきましたが、鐘の音は途絶えてしまいました。

住民の日常の一部だった鐘の音を取り戻そうと、3月28日からは鐘楼堂の修理作業が始まりました。

それから1週間─。

5日は住民を集めた完成祝いが行われました。
完成した鐘楼堂は基礎の石からずれた柱を元に戻し、コンクリートで基礎を固めて耐震性を上げています。

住民の女性: 「いいがに直してもろて。上等やわい」

北鹿渡文照住職: 「以前よりも、もっときれいに直していただきました。とてもうれしいことです。そこで皆さんには、喜びの鐘をひとつずつ突いていただきたい。そういうことできょうのこのイベントを計画しました」

3か月ぶりの鐘つきに、復興への祈りを込めます。
住職に続き、集まった住民が次々と鐘を突いていきます。

地震の爪痕が残る中でも公費解体が始まるなど、少しずつ復興に向けて歩み始めた姿地区。懐かしい鐘の音が、再び集落に響きわたります。

記者:「きょう鐘の音復活しましたけどどうですか」 住民の女性:初めて突いてなんていうか、うれしい音。音が出て良かった」 別の住民:「いやうれしいね。何十年、朝6時の鐘聞いて生活始まるからね。朝の生活が。なくなったらやっぱり寂しかったね。鐘突いてなんか元気出たような気がする」

姿地区では57世帯のうち16世帯が地震で転居していて、地域コミュニティの存続が課題となっています。

北鹿渡文照住職: 「復興は道半ばなんです。でもこの鐘がきょうから鳴り始めましたから。それがひとつのいわば復興のシンボルとして皆さんの心を勇気づけて元の村になるように願いたいと思っています」

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