「やられました。良い選手ですね」ボルシアMG板倉滉が“直接対決”した日本人MFに感服。思わずこぼした本音「味方にいてほしい」【現地発】

フライブルクでプレーする日本代表DF堂安律とボルシアMGでプレーする板倉滉がブンデスリーガの舞台で“初対戦”した。

「ブンデスでスタメン同士は初めて」(板倉)という試合は堂安のゴールもあり、フライブルクが3-0で快勝。試合後のミックスゾーンで堂安が日本人記者に囲まれて取材を受けていると、後ろから板倉も登場し、「ナイスゴール!」と声をかけ、抱き着く。堂安も笑顔でこれに応じるなど、互いの仲の良さを感じさせられた。

日本代表でチームメイトとの直接対決は、堂安にとっても意識するところはいろいろあったのだろうか。

「まあ、代表でも一番仲良しなんで。でも、(対戦で)意識することは特に。日本人対決は絶対に負けたくないので、それは常に心掛けてやってます」

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欧州で活躍する日本人選手は多い。それぞれがプロフェッショナルに取り組み、日々の戦いに身を置いている。メンタル面でも人間関係の面でも最適な状態にできるように日々暮らしていることだろう。シーズン中はプライベートでリラックスできる時間もそこまで多くはない。

代表選手ともなれば、移動も多いし、休養にも時間を費やさなければならない。それだけに日本代表の同僚で仲のいい仲間と顔を合わせ、言葉を交わす機会はかけがえのない時間に違いない。

公式SNSには試合前のグラウンドで会場に到着した堂安が板倉と親しげに過ごすシーンがアップされていた。同じ海外組だからこそ分かり合えることがたくさんあるのだ。

板倉は0-3の敗戦後でも、丁寧にメディアの質問に対応し、堂安のプレーについても話してくれた。

「やられましたねぇ...良い選手ですね、やっぱり。自分とは逆サイドだったんで対峙することはなかったですけど。前回の対戦では僕がレッド(カード後の)で出場停止で出てなくて。やっとこうやって出られて。やっぱり、ボールが収まるしね。自分でクリエイトしていける、周りを使いながら入ってこれるんで、それは逆サイドから見てても嫌だなと思った。なんせボールを失わないし、あそこで落ち着いて味方につなげるっていうそれは非常に大きいな、と」

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試合中に直接の競り合いをするシーンは少なかったものの、堂安に引っ張り出される味方が作ったスペースをカバーしなければならない局面はそれなりにあった。ゴールやアシスト、わかりやすいスタッツにつながらないプレーだと、なかなか評価されないこともあるが、選手が持つ影響力というのは実際にピッチに立つ選手じゃないとわからないこともたくさんある。

激しい守備でボール奪取、最悪でもボールを後ろに下げさせたいところで、奪われずに、そしてボールを下げずに次の展開につなげるプレーというのは対戦相手からしたら相当に厄介だ。

板倉も話しながらチーム事情と少しリンクするところがあったのだろうか。

「味方にいてほしいなと思いましたけど」

そういって優しく笑った。愛情のこもった表情だった。でも一方的に称賛したままで終わるのもまた違う。

「今日は悔しかったですけど、お互いケガなくまずはシーズン終了まで頑張りたいなと思います」

そう、次の対戦もきっとすぐ来る。今度は負けないという思いがそこにはある。そして次回は堂安が板倉のクレバーさに抑え込まれる試合となるかもしれない。互いの思いがぶつかり合うバチバチの試合を楽しみにしたい。

取材・文●中野吉之伴

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