「SYNDUALITY Echo of Ada」CBTプレイレポート――ロストの危険が隣合わせの世界でメイガスと共に成長していく実感が楽しい

バンダイナムコエンターテインメントがPS5/Xbox Series X|S/Steam向けに発売予定の「SYNDUALITY Echo of Ada」。2024年3月28~4月1日にかけて行われた、同作のクローズドβテストについてレポートする。

今回のCBTでプレイできたのは、先日行われたメディア向け体験会と同一の内容。基本的なゲームの流れや内容については、以下の体験会の記事を参照していただくとして、今回は主に筆者が実際にCBTをプレイして感じたことを主に紹介していく。

■初めての「PvPvE」は、意外と殺伐としていなかった

本作は、オンラインFPS「Escape from Tarkov」に代表される、他のプレイヤーとの協力・対戦の要素の両方が存在する、いわゆる「PvPvE」と呼ばれるジャンルの作品にあたる。

プレイヤーは「クレイドルコフィン」と呼ばれるロボットに乗り、パートナーであるアンドロイド「メイガス」と共に、様々なフィールドを探索することになる。フィールド内には「エンダーズと」呼ばれる異形の怪物や、NPCが操作する盗賊団、オンラインで接続された他のプレイヤー(ドリフター)が複数存在しており、プレイヤー同士で協力、時には対立することになる。

最初に筆者のスタンスを説明すると、「PvPやPvEのオンラインシューターはそれなりにプレイしているが、PvPvEはほぼ未経験」というタイプのプレイヤーだ。

PvPvEというジャンルにはあまり馴染みがなかったものの、本作は自分が好きなロボットを題材としたシューターで、かつメイガスというパートナーの存在、クレイドルコフィンが「装甲騎兵ボトムズ」のATのような泥臭いメカだったり、独特の世界観に魅力を感じていたのもあって、発表時から気になっていたタイトルだった。先日にはアニメ「SYNDUALITY Noir」が最終話を迎えたばかりというのもあり、筆者と同じようにPvPvEに触れたことがなくとも、本作には興味をもっている人も少なくないのではないだろうか。

一応筆者は、昨年の秋頃に行われた体験会でもプレイさせてはもらってはいたのだが、その時は遊べる時間が限られていたのもあって、しっかりと本作を遊ぶことができたのは今回のCBTが初めてだった。その上で感じたのが、「事前に抱いていたイメージよりは敷居が高いゲームではないかも」という印象だ。

前提として、本作はフィールドで自分のクレイドルコフィンを破壊された場合、それまでに入手していたアイテムだけではなく、機体のパーツや武器まですべて失われ、自分では回収することもできないという、かなりペナルティが重い仕様となっている。PvPvEというジャンルも含めて、ゲーム好きの中でもかなりコアなユーザーをターゲットにした作品と認識していた。

そこから少し印象が変化した要因となったのは、比較的お金に余裕があると感じられるバランスになっている点。

機体が破壊されると全てロストするのが痛いのは確かなのだが、本作にはフィールド内にあるAO結晶だけではなく、他のプレイヤーが残したメイガス(他人のメイガスはショップに売却することで報酬を得られる)などの換金アイテムなど、金策手段が豊富に存在する。そのため、結構所持金には余裕ができやすく、店で売られているパーツで組んだ機体であれば、ロストしても買い戻すのはさほど難しくないという感覚だった(この点は、正式サービス時にバランスが大きく変わっている可能性もあるが)。

加えて、出撃直前にはパーツや武器に保険を掛けられるという、少し変わったシステムも素材している。保険をかけた場合は1回の出撃あたりに少額のお金を支払う代わりに、万が一パーツをロストした場合、ある程度まとまった金額が戻って来る仕組みになっているので、店売りの装備であれば一層フォローが効きやすい。

所持品に関しては、撃破されても拠点に送られる「セーフポケット」の枠に入れることで保護できる。

また、ゲーム開始時に所有しているクレイドルコフィンのパーツと武器、リペアキットと弾薬一式については、破壊されても拠点に戻ると再支給されるので、「ロストを繰り返して、お金も出撃できる機体もなくなった」という、一種の“詰み”のような状態になることはない。どうしても機体のロストが嫌な場合は、初期装備のまま出撃し続けるという手もあるわけだ。

ただしショップ売り以外のパーツに関しては、素材を集めてクラフトしたり、宝箱や敵からのドロップを狙うしかないなど、再入手までのハードルが高いものもある。筆者の場合は、結局そうしたパーツをロストするのが嫌で、ショップ売りのパーツばかりを使ってしまっていた。せっかく集めた武器や作ったパーツを使う機会が少なくなりがちな仕様なのは、ロボットゲームとしてはもったいないと感じた点だった。

また、これもあくまでも今回のCBTにおける環境では、という前提にはなるのだが、PvPの発生頻度が低めだったのも、想像と異なっていた点だ。

本作では、ドリフター振興協会に所属して、対エンダーズ戦や組織からの依頼をこなすことを主とするか、ドリフター振興協会を抜け、他プレイヤーに積極的に攻撃をしかけて所持品を奪う賞金首として生き抜くか、主に2つのスタンスが存在している。

今回筆者は自分からはPvPを行わない協会員としてプレイしていたのだが、賞金首としてプレイしているプレイヤーの割合はあまり高くないのか、他のプレイヤーに攻撃されて機体をロストするケースは、0ではないもののかなり少なめだった。

フィールド内では、他のプレイヤーと遭遇する機会は頻繁にあるが、その多くが協会員で、一緒にエンダーズを協力して倒すか・非干渉で通り過ぎるかというケースがほとんど。基本的にクレイドルコフィンは耐久力が高くなく、背中を見せた状態で先手を取られると一瞬で撃破までもっていかれるので、他のプレイヤーと出会った時は結構な緊張感が走るのだが、敵意がないことが分かると挨拶をしたり、ほのぼのとした空気が流れ始める。

同じ組織に属していれば、最大3人の一時的なチームを結成することもでき、チームを結成すると小さなミッションのようなものがスタートし、クリアで報酬を獲得できるようにもなっている。

一方、他のプレイヤーを撃破すれば所持品をすべて奪えるため、ゲーム的なメリットは大きい。

今回のCBTでも、ものは試しと筆者もPKを試みたことはあったのだが、攻撃が外れて攻撃したことに気づかれずに普通に挨拶されたり、当たっても誤射と勘違いされてその場ジャンプで敵意がないことを示され、攻撃を続けるのが心情的に無理になったり、結局は一人も協会員は手にかけることなくCBTを終えていた。普段からPvPのゲームをプレイしているにも関わらず、ジャンルがPvPvEになると、中身がプレイヤーの存在を撃つことにここまでためらいが生まれるというのは、自分の中で新しい発見だった。

賞金首となったプレイヤーから攻撃を受けることはあったものの、協会員のメンバーに背後から攻撃されるケースは最後までないままだった。今回のCBTには筆者のようなPvPvE初心者が多かった可能性もあるのではないかと思うが、プレイ前に抱いていた、いつ裏切られてもおかしくない殺伐とした世界のイメージとは、結構違っていた印象だ。

■メイガスの成長を実感する楽しさに、より深く世界について学べる要素も

また、プレイしていて感じたのが、「メイガス」というプレイヤーのパートナーとなる存在の大きさ。

本作におけるメイガスは、プレイヤーにとって絶対に欠かせない相棒で、様々な場面でプレイヤーの助けとなるのに加えて、メイガス自身も成長していく。

メイガスはゲーム開始時に作成。拠点でコスチュームや見た目を変えることもできる。

例えば本作では、協会を始めとするさまざまな組織からの依頼を受けたり、パーツや武器をクラフトするためにフィールド内の素材を集めることになるが、フィールド上にあるアイテムはあまり目立たない外見となっており、かなり見落としやすい。最初にプレイした時はこの仕様にストレスを感じたのだが、しばらくプレイしていると、メイガスの力を借りるのが前提となっていることに気付いた。

依頼で必要な素材や撃破目標に関しては、一度視界に入れればメイガスが場所を教えてくれるし、何度が出撃を繰り返してフィールドの情報を学習させれば、出撃時に依頼を達成できるおおまかな地点を地図上に表示してくれるようになっていく。

素材を集める上では「ウィッシュリスト」という機能もかなり便利で、目当てのパーツやアイテムがある場合にはリストに追加しておけば、依頼と同じようにメイガスが場所を示してくれる。この機能を使っているかいないかで、素材を集める効率が劇的に変わってくると感じたほどだ。

また、最初はボロボロの廃墟同然になっているガレージ(拠点)を、各地で集めた素材を使って修理・拡張していくような遊びも用意されている。ガレージの設備を充実させることで、メイガスの処理能力が上がったりヘソクリを貯めてくれるようになったりと、メイガスができる仕事の幅もさらに増えていく。

当然、ゲームが進むとクレイドルコフィンや武器がより良いものを使えるようになっていき、プレイヤー自身のプレイスキルも上達していくが、それと一緒にメイガス成長もしっかりと感じられる。まさに二人三脚でこの世界を生き抜いているような感覚があり、プレイしていく上での大きな励みになった。

拠点の設備が充実すると、拠点で過ごしている時のメイガスの行動パターンも増えていく。

フィールド内では、アーティファクトという過去の文明の遺物を入手することもある。アーティファクトを入手するとコレクションに追加されるという収集要素だが、アーティファクトを入手すると同時に「アメイジングタイムライン」と呼ばれる歴史年表の一部が解除され、「メイガスやクレイドルコフィンがどのようにして生みだされたのか」といった情報が開示されていく。

アーティファクトもアメイジングタイムラインも、それぞれ結構な文量で読みごたえがあり、TVアニメを含めたメディアミックス展開をしているからこその、世界観の作り込みを感じられた。とくにアニメから「SYNDUALITY」を知ったという人は、この世界の歴史が紐解かれていく感じはテンションが上がるはずだ。

また、クレイドルコフィンを動かすのに必要なバッテリーも、ゲームにいいアクセントを与えていると感じられた要素。

バッテリーがなくなるとクレイドルコフィンは動けなくなるので、その前に脱出用のエレベーターにたどり着く必要があり、いわば1出撃あたりの制限時間としても機能している。このバッテリーの存在のおかげで、自然と1プレイが区切られるので、フィールドでのロストの緊張と拠点に帰還した時の安堵のサイクルが、ある程度短いスパンで交互に来るのがなかなか心地良い。

時間が短めな分、1回の出撃でできることも限られており、複数の依頼や集めたい素材がある時には、いかに効率よく目的のものを集めつつ、脱出地点であるエレベーターにたどり着くようにするか、ルートを考えて行動をするのも面白かった。

前の出撃で集めきれなかった素材を集めるために、もう一度出撃したくなったりと、ロストの恐怖にも負けずに、思わず何回も遊んでしまうような中毒性がある。

長く探索をしたい場合は予備のバッテリーを詰んだり、バッテリー持続時間の長い探索向けのボディパーツを使う手もある。

総じて楽しんでプレイできたのは間違いないのだが、まだCBTということを考慮しても、ラグや同期ズレのような現象が多発していたのは残念だった部分だ。

筆者のネットワーク環境が悪かった可能性もあるが、サブマシンガンのような連射速度の早い武器を使うと、画面上では攻撃が当たっているのに敵のHPバーが減り始めるまで少し間が空いたり、普通に移動しているだけなのに急に1、2秒前にゲームが巻き戻ることがあったり、本来ゲームデザインとして想定されていない部分のストレスを感じることがしばしばあったのは、非常にもったいなかった。

ただ、このあたりは正式サービス開始時には改善されると思われるので、またプレイできるようになるタイミングを心待ちにしたいところだ。

いよいよゲームの全貌が見えてきた「SYNDUALITY Echo of Ada」。いくつかの問題点はあるものの、他のタイトルにはない、本作ならではの遊びを、CBTを通じてしっかりと確かめることができた。

今回のテストの反響を経て、本作がどんなゲームとして仕上がるのか、今後の情報が楽しみだ。

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