「1でOK」でピンときた娘のパパ活!娘に「健全デートだから大丈夫」と開き直られ母は涙…

娘がパパ活? 家族がパパ活していると知ったら、どうすればよいのだろう。「ご飯だけ」ならOKなのか、NGなのか、安全面はどうなのか……娘が納得する「ダメな理由」が欲しい。

「パパ活」という言葉はすでにセンセーショナルでもなくなり、もはやある種の人たちの日常生活に入り込んでいるようにも見える。パパ活をする女性、そしてそんな女性に小遣いをあげるパパ側。その両方が家族だったとしたら……。

娘がパパ活していると知って

東京の大学を卒業して就職して2年たつ娘がいるアヤコさん(50歳)。自宅は関東にあるが、通うのが大変だという理由で、娘は学生時代から都内でひとり暮らしをしている。 「ただ、娘とはよくコミュニケーションをとっていると私は思っていました。仕事をしているといってもまだ給料は少ないし、もし足りなければいつでも貸すからとも言ってある。娘は『私は倹約家だから大丈夫』と自炊をしてがんばっていたんです」 ところがあるとき、娘の部屋に行ってみたアヤコさんは、娘の入浴中にスマホが鳴るのを目にした。そしてメッセージの中身が見えてしまったのだ。 「明日、誰かと会うということみたいでしたが、食事のみ1でOKと書いてあった。私、ピンときたんですよ、これはパパ活だって。体が震え、頭がカッカしてきて……。娘が出てきたので、どういうことよと叫んでしまいました」

娘の言葉に、涙がこぼれた

娘は「しまった」という顔をしていたが、「健全デートだから大丈夫」と言い放った。好きでもない人とデートしてお金もらって、あなた、それで恥ずかしくないのとアヤコさんは涙がこぼれるのを止めることはできなかった。 「給料が少ないから補填しないとやっていけないの。食事一緒にして話をするだけだよ、何がいけないのと娘は開き直りました。何がいけないのって、自分の時間や心を知らない人に切り売りしているということだよ、それであなたに何かいいことがあるの、と言うと、『副業でバイトするよりコスパがいい。友だちはパパ活から転職に成功した』って。 いや、そんな縁での転職なんて、のちのちろくなことがないでしょと言っても、娘には伝わらなかった」 パパ活の何がいけないのと聞かれて、娘が納得できる答えを返せる親はいないのかもしれない。アヤコさんの言うことは正しいが、娘が言うようにアルバイトより時給はいいだろう。そこにさまざまなリスクがあると伝えても、「食事だけで何のリスクがあるのか」と言われたら答えられない。 しかも娘は本名を絶対に知らせないという。危機対策はしているようだが、アヤコさんは「それはこの件の本質ではない」と断言した。 「何がいけないとか危なくないようにしているとかいうことじゃないんですよ。お金のある中年男性と食事をしてお金をもらう、そのさもしい根性が私は嫌なんです。もっとプライドを持てと言いたい」 プライドは持っている。だから食事だけなんだと娘に言われたら、どう答えればいいかわからないと彼女はため息をついた。

夫までパパ活をしかけていた!?

そんなことがあったあと、家でパソコンを使っていたら、夫が以前見たサイトの履歴が出てきた。そこにはパパ活のサイトがあった。 「血管が切れそうになりました。夫には娘のことは言ってないし、娘には自分のスキルをアップさせたほうがのちに役立つ。もし勉強したいことがあるなら、そのために応援するということは伝えていました。 パパ活なんかやめろと言ってもやめないでしょうからね。でも日々、心配していたんですよ。そんなときに夫がパパ活関連サイトを見ていたとわかって、もう何がなんだか」 夫が寝ているときに、こっそり夫のスマホをチェックした。パパ活アプリがしっかり入っていて、どうやらアクセスもしているようだった。ただ、まだ実際に会うところまではいっていないようにも思えた。 「夫にカマをかけてみました。パパ活ってどう思う? と。夫は一瞬、目が泳いでいましたが『どうってどういうこと?』と逆質問。こういうときの夫は時間稼ぎをしているだけなんですよ。だから『娘がパパ活しているとしたらどうする?』と踏み込んでみました。 夫はカッと目を見開いて、『会社を辞めさせて家に引っ張って帰る』と。世の中のおとうさんたちはみんなそう思ってるよね、と言っておきました」

娘と同じような年齢の女性とデートする心理

数日後、夫のスマホを見ると、パパ活アプリは消えていた。娘を溺愛して育ててきた夫でさえ、自分の娘と同じような年齢の娘とデートすることを夢見ていたのだろうか。あるいは娘を同じ世代というところに意識がいかないのだろうか。アヤコさんは不思議でしかたがなかったと言う。 「でも夫は目が覚めてくれたようでよかった。あとは娘ですね。自分がしていることに後ろめたさを感じないのか、感じても現金に目がくらむのか。やめさせたいけど、その術がわからないんです」 アヤコさんが正義なのか、娘の考え方もありなのか。誰が判断をするのか。彼女の苦悩は続きそうだ。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。 (文:亀山 早苗(フリーライター))

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