国連事務総長、ガザ支援要員196人の死亡巡り独立調査を要請

[国連 5日 ロイター] - 国連のグテレス事務総長は5日、パレスチナ自治区ガザで死亡した人道支援活動家196人全員について、独立調査を行うよう求めた。合わせて、イスラエルがガザへの支援を迅速かつ効果的に拡大することを心から望むと述べた。

また6カ月におよぶ戦争を受け、ガザは「完全に絶望的な」状況になっているとした。

ガザで今週、支援団体「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」の職員7人が死亡した問題を巡り、イスラエル軍が公表した調査結果によると、同軍はイスラム組織ハマスの戦闘員が乗っていると誤認してWCKの車両3台をドローンで攻撃した。標準的な作業手順が守られていなかった。

これについてグテレス氏は「イスラエル政府は過ちを認めている」とした上で、「しかし、本質的な問題は誰が過ちを犯したかではなく、こうした過ちが何度も繰り返されるのを許している軍事戦略と手続きにある」と言及。「こうした失敗を正すには、独立した調査と現場での有意かつ測定可能な変化が必要だ。196人の人道支援活動家が殺害されており、われわれは彼ら一人一人がなぜ殺害されたのかを知りたい」と語った。

国連安全保障理事会はこの日の会合で、ガザに迫りつつある飢餓と支援活動要員への攻撃について協議した。

グテレス氏は記者団に対し「支援への扉が閉ざされると、飢餓への扉が開かれる。人口の半数以上、100万人超が壊滅的な飢餓に直面している。ガザの子どもたちは今、食料と水不足で死にかけている」と指摘。「理解しがたい状況だが、完全に回避可能だ。パレスチナ人に対する集団的懲罰を正当化できるものは何もない」と強調した。

イスラエル軍がガザで攻撃目標を特定するために人工知能(AI)を活用しているとの報道については「深く困惑している」とし、人の生死に関わる重大な判断を「アルゴリズムの冷徹な計算に委ねるべきではない」とした。

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