温泉ウナギ6月初出荷 宇奈月の黒部Uプロジェクト

試食会でウナギを食べ比べる関係者=2月、黒部市宇奈月温泉のホテル

  ●7月土用の丑の日前に出し 夏場、旅館の名物に 

 黒部市宇奈月温泉の温泉水に入れたウナギの特産化を目指す黒部Uプロジェクト協議会が、6月にも各旅館、ホテルに「温泉水ウナギ」の出荷を始めることが5日、分かった。各旅館では農林水産省認定の一流シェフが考案したレシピで調理。需要が高まる7月24日の「土用の丑(うし)の日」前に出し、夏場の名物料理として温泉街のにぎわい創出につなげる。

  ●吉田YKK相談役が代表

 協議会は黒部商工会議所と黒部市内の協賛企業でつくり、吉田忠裕YKK相談役が代表を務めている。ウナギと宇奈月の頭文字からUプロジェクトと名付け、2021年度から活動を開始した。富山県水産研究所と連携して試食会や成分分析を重ね、出荷のめどが立った。

 ウナギは静岡県浜松市から取り寄せた養殖物を使用した。ユズ入り温泉水に1週間漬けることで風味ややわらかさが増すという。2月に開いた試食会では、「温泉街の新たな名物になる」「肉にやわらかみが出た」と好評だった。

 ウナギは県鮭鱒(けいそん)漁業協同組合(魚津市)に加工を任せ、さばいて焼いた後、真空パックにして旅館やホテル、飲食店に出荷する。

 協議会によると、宇奈月温泉の旅館では冬場は魚やカニが料理の中心となっている。夏場の新たな目玉食材としてウナギを売り込み、さらなる誘客を図る。

 協議会では毎年、市内の河川にウナギの幼魚を放流しており、将来的にはそのウナギを食材として使用し、黒部産として魅力を高めたい方針だ。川端康夫事務局長(黒部商工会議所会頭)は「各宿泊施設が多様なウナギ料理を提供することで、魅力が高まる」と話した。

 ★宇奈月温泉 黒部峡谷の玄関口にあり、黒部川上流の黒薙(くろなぎ)温泉から引湯し、1923(大正12)年に開湯した。日本一の透明度とされ、無色透明の湯は肌にやさしい弱アルカリ性で「美肌の湯」とも言われる。源泉温度は約90度で、23年に開湯100周年を迎えた。

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