福井県内で深刻化する保育士不足…大学・短大の専門学科は定員割れ続き

絵本を読み聞かせる認定こども園の職員。福井県内で人材不足が深刻化している=1月、福井県鯖江市内

 福井県内で保育士不足が深刻化している。仁愛大学と仁愛女子短期大学の専門学科の入学者が減少し、募集人数を下回る定員割れが続く。人手が足りない保育園では、人材派遣会社を通じて職員を採用せざるを得ないケースも珍しくない。園関係者からは待遇改善などを求める切実な声が上がる。

 県内のある認定こども園は昨年4月から、人材派遣会社を通じて職員1人を雇用することになった。紹介料はおよそ100万円に上る。

 園長によると、派遣会社の就職支援サイトはスマートフォンで操作できる便利さや登録園の多さなどから若者に人気がある。「100万円あるなら全職員に手当を支給したいのが本音。しかし大学や県を通じた募集では人材を確保できず、派遣会社を頼るしかない」と打ち明ける。同様のケースが県内の園で多くあり、職員不足で預かる子どもの数を減らす所もあるという。

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 慢性的な人手不足は全国的な課題だ。保育士は他業種と比べ賃金が低い一方、乳幼児の命を預かる負担は大きい。ある園関係者は「全国で相次ぐ不適切保育の事件も保育職のイメージ悪化につながってしまった」と話す。政府は2024年度予算案で保育士の配置基準を見直して1人が担当する子どもの数を減らし、補助金を拡充する施策を打ち出したが、現場からは「待遇改善は不十分」との意見が聞かれる。

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