【マネーの教科書】#56
ネクストチャイナの投資先として注目されるインドだが、株式だけでなく国債に期待が集まっているようだ。米金融大手のJPモルガン・チェースが新興国債券指数にインド国債を組み入れると発表したからだ。
実際の組み入れは今年6月28日~来年3月31日の10カ月間に行われる。HSBCアセットマネジメントは、これにより、「200億から220億ドル(約3兆円)の資金が流入する」と予想している。
インドの債券市場は大規模で流動性が高いにもかかわらず、これまで主要なグローバル指数には組み入れられたことはなく、JPモルガンが初となるという。
すでに指数組み入れに期待した買いが集まっているようだが、資金流入が本格化するのはこれから。その前にインド国債を買っておけば、高いリターンが確保できるかもしれない。
ただ、直接投資は難しい。投資するなら、投資信託が手軽だろう。インドの債券に投資する商品はすでに数多くあるが、そのリターンは好調だ。過去3年間の騰落率を見ると、多くが35~38%(2月末)の間に集中しており、年平均リターンは10%を超える。
ただし、国債のほかに社債にも投資するなど、組み入れ債券はファンドによってまちまちだ。
その中でも国債の組み入れ比率が高いのは、「インベスコ インド債券ファンド(毎月決算型)」だ。運用予算の約83%をインド国債に投資。加えて約11%を政府関連債に投資しており、公的債券は9割以上を占める。分配金を再投資した過去3年間の騰落率は35.58%となっている。信託報酬は年約0.8%で、インド債券ファンドの中では、低めに抑えられている。
一方でリターンが高いのは、「三菱UFJインド債券オープン(毎月決算型)」。過去3年の騰落率は38.1%となっている。約41%をインド国債に投資し、約28%は社債にも投資されている。信託報酬は年1.21%。
インド国債は安全か。債券の信頼性は格付けが参考にされるが、インド国債はBBBマイナス。格付けではBBBまでを投資適格と呼び、信用度が比較的高いとされる。資産の一部で高いリターンを狙うのであれば、投資する価値はあるかもしれない。
(ジャーナリスト・向山勇)