ポイントは「荷主との協力」残業規制に人手不足、ドライバーの高齢化…物流業界の2024年問題

4月1日から残業時間の上限規制が強化されたことで懸念される「2024年問題」。

物流業界の2024年問題は、これまで制限がなかったトラック運転手などの時間外労働に・月80時間以内・年間960時間以内という上限が設けられるというものです。

目的は物流業界の「働き方改革」で、ドライバーの長時間労働を是正することが、期待されています。一方で、これによってドライバーが不足し、物流が停滞することが懸念されています。

福島県内の物流業界でも、新たな対応を迫られています。須賀川市の運送会社「アール急便」。主に首都圏に向け、工業製品を輸送しています。

アール急便・鈴木克之社長「単純に従業員の労働時間が減るので、今までやってきた輸送ができなくなるのではないかと、単純に輸送能力が下がって売り上げ減少につながるのではないかという懸念があった」

この運送会社では、2024年問題を見据え、去年の春からすでに新たな基準で業務を行ってきました。

まず、ドライバーは2人増員して10人に。これにより、1人当たりの時間外労働時間を1割から2割減らすことができました。その分、ドライバーの収入が減らないよう、基本給も引き上げました。しかし、鈴木社長は、こうした社内の対応だけでは、不十分だと感じています。

荷主と協力「待ち時間を少しでも短く」

最も重要なのは、荷物を送る客「荷主」との協力だといいます。

アール急便・鈴木克之社長「一番は荷物の待ち時間。荷下ろしの時間までに待ち時間が発生したとか、そういうのをなるべく削減できるように、従業員とお客さんと相談しながら詰めてきた。一年間通してやってみて、難しいことではなかったなと。荷主さんと協力し合えれば守ってやっていけるのではないかと感じた」

運送業者の多くは車で物を運ぶだけでなく、荷物を載せたり、降ろしたりする業務も請け負っています。その際の待ち時間が長ければ長いほど、残業時間も増えてしまいます。この待ち時間を少しでも短くするためには、荷主の協力が不可欠だと鈴木社長は話しています。

一方で、ドライバーの確保は今後も大きな課題となりそうです。福島労働局によりますと、ドライバーの有効求人倍率は、1.91倍。他のどの業種よりも高く、人手不足が深刻な状況です。

また、ドライバーの高齢化も、進んでいます。今回取材したアール急便のドライバー10人の年代は、40代が1人、50代が6人、60代が3人で、今後も人材の確保は課題の1つとなっています。鈴木社長も、時間外労働の規制により、「稼げない」というイメージがついてしまうと、若い人材の確保が難しくなるのではと、懸念しています。

ネット通販の普及などで、物流の需要が増える中での2024年問題。私たちの生活とも密接に関わってくるだけに、これからも注目していく必要があります。

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