【感染症ニュース】新型コロナ韓国から帰国後陽性の母子取材「母子軽症も、同居祖母に感染」 海外から持ち込みケースも 第13週全国定点5.10下がり切らず

まだまだ警戒が必要

厚生労働省が令和6年4月5日に発表した令和6年第13週(3/25-31)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」によると、全国の定点当たり報告数は5.10。これで8週連続の減少となりましたが、今後流行はどのようになっていくのでしょうか。

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感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、
「第13週のデータは学校が春休みに入ってからのデータになります。新型コロナウイルス感染症の定点は小児科が多くなっているので、データについてはお子さんたちの長期休暇の影響をうけやすくなっています。ここしばらくは春休みの影響を受けて、定点当たり報告数は少なくなると見ています」としています。

現在も安心できる報告数ではない!

その上で安井医師は「ここ1か月近く、定点あたり報告数は5〜6で推移していますが、この数字は決して安心できる数字ではないと思っています。実際に、去年の11月には2を切っていましたので、その頃と比べるとまだまだ多くの感染者が出ているといえるでしょう。当院でも現在7〜8人の方が新型コロナウイルス感染症の方が入院されています。春休みが終わった4〜5月には再び定点当たり報告数は上昇してくるのではないかと予測しています」と語っています。

(経験談)韓国から帰国した母子と、同居の祖母が新型コロナに感染

現在円安などの影響により、外国から観光客を含め多くの方が来日していますが、それと同時に様々な感染症を海外から日本に持ち込むケースも考えられます。先日、韓国から帰国した母子が新型コロナウイルス感染症を発症し、実家で感染が広がったという方を取材しました。
・4月1日
母(30代)と子(1歳)が韓国から帰国。母は熱、咳の症状がある。子は鼻水が少し出るが熱はなく食欲もあって元気。
・4月2日
念のため検査キットで調べてみると、母子共に陽性。医療機関を受診し自宅療養。母も子も症状としては発熱や咳、鼻水で、普通のかぜとあまりかわらない。
・4月3日
母子と帰国後ずっと一緒にいた祖母(60代)が午後から寒気がしてきて、検査キットで調べてみると陽性。ワクチンを5回接種していた祖母は、初めての発症。一昨日の母子の帰宅後、すぐに感染し2日で発症した模様。1歳の子は、ほとんど症状がなかったので、抱っこしたりして濃厚接触をしていたから感染したのかもしれない。医療機関を受診した際、抗ウイルス剤について尋ねたが、特に必要ないだろうということになり、処方されず。症状は鼻水と眠気が続く。
・4月4日
母は依然として熱があるが、子はほとんど症状もなく元気。祖母の熱は37.8℃あるが、咳はなく鼻水も治まり、症状としては熱だけ。
・4月5日
母は改善に向かう。祖母の熱は36.8℃と平熱に近くなったが、ノドが痛くなってきた気がする。これからさらに悪化するのではないか、心配である。

お母さんによると、韓国で近くにいた人が新型コロナに感染していたので、その人からうつったのだろうとのこと。韓国でも新型コロナの感染者は今もでているとのことです。

新型コロナの感染経路は?

新型コロナウイルスは、感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分であったり、混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。
家族が感染すると、家庭内での感染が広がる可能性があります。かぜのような症状があるときは、なるべく同じ空間にいることを避けるのも、感染対策になります。まだまだ油断せず、感染対策を続けましょう。

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第13週(3/25-31)、新型コロナワクチンQ&A

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

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