第4種踏切、探る安全 茨城県内に77カ所 簡易遮断機や警標

簡易遮断機が設置されている関東鉄道常総線の第4種踏切=取手市新取手

列車接近を知らせる警報機や遮断機がない「第4種踏切」での事故を防ごうと、茨城県内の鉄道各社が安全対策を進めている。歩行者が開閉できる簡易遮断機を導入して一時停止を促したり、踏切手前に踏切警標(クロスマーク)を設置したりして注意を呼びかけている。

同県内の鉄道各社によると、第4種踏切は県内で77カ所あり、関東鉄道常総線が最多の32カ所。このほか、ひたちなか海浜鉄道湊線に16カ所、JR水郡線に15カ所、鹿島臨海鉄道鹿島臨港線に8カ所、関東鉄道竜ケ崎線に5カ所、真岡鉄道真岡線に1カ所がある。

このうち、同県取手市新取手の常総線「団地内踏切」には昨年12月、県内で初めて簡易遮断機が試験的に導入された。この踏切では2015年、男性が気動車にはねられる重傷事故が発生しており、同社は県外での設置例を参考に導入を決めたという。

普段から同踏切を利用しているという男性(82)は「簡易遮断機ができたおかげで、以前よりも注意して渡れる」と話した。

各社はこのほか、黄色と黒色のしま模様となっているクロスマークや停止を呼びかける看板設置などでドライバーや歩行者に注意喚起。見通し確保のため、定期的な除草も続けている。

総務省が21年にまとめた実態調査によると、第4種踏切での事故発生割合は100カ所当たり1.02件。遮断機や警報機を備えた「第1種踏切」(同0.59件)の1.7倍に上る。同省は、第4種踏切の解消に向けて地域での議論や合意形成を促すよう国土交通省に求めている。

ただ、第4種踏切は生活道路として利用されている側面もあり、一律での解消は難しいのが実情だ。

今年1月に死亡事故が起きた常総市平内の常総線「平内2踏切」は住宅街に設置。住民は近くの公民館やごみ捨て場に行くため踏切を横断し、幅の広い道路にも面しているため車の往来も少なくない。

近くに住む男性(62)は「危険だが、使えなくなると不便。早く安全対策をしてほしい」と話した。

関東鉄道と市、常総署の3者は、第1種踏切への切り替えを見据え、ミラー増設や停止線の再塗装などを検討中という。

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