日本人女性初のプロボクサー、高築正子さんは76歳の現役トレーナー「今でも闘争心が」【各界の『虎に翼』】

高築正子さんは東京・赤羽の「フラッシュ赤羽ボクシングジム」でトレーナーを務めている(写真・木村哲夫)

連続テレビ小説『虎に翼』(NHK)では、伊藤沙莉が女性弁護士の草分けを熱演している。本誌は、各ジャンルのパイオニアたちに「矜持と苦労」を直撃した。前例のない世界に飛び込んだ彼女たちには、共通する “強い思い” があった――。

「え? アメリカで女子プロボクシングが解禁? 行く! 私、行ってくる!」

日本人女性初のプロボクサー・高築(たかつき)正子さん(76)が、幼少時代から憧れていたプロボクサーの世界。当時は、いつまでたっても日本では女性はプロになれなかった。長年ジムでトレーナーをしていた高築さんは、28歳で渡米。現地でライセンスを取得して、日本人初の女性プロボクサーとなった。

デビュー戦は判定負けを喫したが、後楽園ホールでおこなわれた3戦めで、ネバダ州のチャンピオンを倒した。

「アメリカ人は背が高いからリーチも長いけど、私はフットワークを生かして戦ったから、勝てたんです」

成績は12勝2敗1分。35歳で引退した。

「私はただ、ボクシングが好きで試合をしたかった。その場が日本になかったから、アメリカへ行っただけです。今でもリングに上がると、闘争心が湧いてきますよ」

現在は、東京・赤羽の「フラッシュ赤羽ボクシングジム」でトレーナーを務めている。

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