女子プロ野球選手・吉田えりさんはコーチ兼任の現役投手「ナックル磨けば、まだまだやれる」【各界の『虎に翼』】

吉田えりさんは現在、栃木県を拠点にするエイジェック女子硬式野球部の投手兼コーチ(写真・木村哲夫)

連続テレビ小説『虎に翼』(NHK)では、伊藤沙莉が女性弁護士の草分けを熱演している。本誌は、各ジャンルのパイオニアたちに「矜持と苦労」を直撃した。前例のない世界に飛び込んだ彼女たちには、共通する “強い思い” があった――。

日本人女性で初めて、男子と同一チームでプレーした女子プロ野球選手である吉田えりさん(32)は、2008年、関西独立リーグのドラフトで神戸9クルーズから7巡目で指名され、プロ入りした。

以降、MLBのウェイクフィールド投手(2023年死去)直伝のナックルボールを武器に、国内外のチームで活躍してきた。だが、30歳を超えて体力的な限界を感じるようになった。

「もう一度だけアメリカのリーグに挑戦して、現役は終わりかなと思っていました」

2023年、彼女は米独立リーグでプレーするため渡米した。このとき、ウェイクフィールドと13年ぶりに再会した。

「存在を知ってからずっと憧れていた投手で、少しでも近づきたくてナックルを投げてきました。改めて指導を受け、『Keep going(続けて)!』という言葉をもらい、涙が止まりませんでした」

現在は、栃木県を拠点にするエイジェック女子硬式野球部の投手兼コーチだ。

「ナックルを磨けば、まだまだ現役でやっていけると思いました。そう信じてこれからも投げていきます」

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