支配下復帰を目指すロッテ・古谷拓郎「圧倒して一軍で見たいと思える投球ができれば」

「二軍でそこそこの成績だと、一軍に上がれないと思う。ここの環境では圧倒して一軍で見たいと思える投球ができればなと思います」。

ロッテの古谷拓郎は、支配下選手復帰を目指し必死に腕を振る。

このオフは「増量と自分の形を見つける。この2つをやっていました」と話し、7、8キロ増えて体重は87キロになった。これまでは細身な印象を受けたが、今は見た目もかなりガッシリとしている。ちなみに1年目の19年の体重は70キロ台だったという。

“自分の武器の確立”に関して、昨年6月15日に取材したときに「スピード勝負というよりかは、自分の持っている変化球のバランスで、的を絞らせないというか、そういうピッチングができてくれば真っ直ぐも球速以上に刺されてくれると思いますし、いろんなボールでしっかりカウントが取れて、全部が決め球になるというのが一番自分の中で、まだそこまでできていないんですけど、一番良い形というか、僕の中では一番なので、そういうピッチングができたらなと思います」と話していた。一冬を越えて、石垣島春季キャンプ中、自身の武器の確立について問うと、「カーブが生命線だと思うので、しっかりカーブの精度を上げていきたい」と、“カーブ”の向上を誓った。

そのカーブは現在、「投球の割合を増やしていって、制球もだいぶできるようになった。もっともっと精度を上げていけたらなと思います」と一定の手応え。

チェンジアップが今年は非常に良い。3月23日のヤクルト二軍戦、0-6の6回一死満塁で左打者の橋本星哉に1ボール1ストライクから空振りを奪った127キロチェンジアップが良い抜けだった。

「チェンジアップは3年目の時も良くて、去年あまり良くなかったので、あまり使っていなかったんですけど、自分でも自信のあるボール。今年のオフは消さないように練習してきた。左バッターにある程度空振りを取れるボールになってきている。いい感じかなと思います」。

チェンジアップの抜けが良いのもストレートが良いからだろうかーー。

「そうですね、真っ直ぐでファウルだったり、真っ直ぐがいっていないとチェンジアップも当てられちゃう。真っ直ぐありきのチェンジアップだと思うので、そこは持ちつ持たれつという感じですね」。

そのストレートは昨季145キロ以上を投げていたが、今季は140キロ台前半が多い。「あまり去年に比べて球速は出ていないんですけど、ファウルを取れたり、空振りだったりをまだ取れているので、いいのかなと思います」。

古谷は3月のオープン戦での登板はなかったが、2月中の一軍の練習試合には3試合に登板し、7回2/3を投げ、5被安打、7奪三振、3与四球、1失点。2月25日の韓国ロッテとの練習試合では、3回を無失点に抑えた。

一軍の練習試合を投げて、「やっぱり決め球のところがまだまだ決めきれなくてカウント3-2にいったりというところはずっと課題。そこの精度ですかね」と自己分析。

決め球に関しては、「カーブはカウントでも決め球でも使えるようにしていきたいですし、あとはフォークは落ちにまだムラがある。決まった時に良い落ちをするので、そこをもう少し伸ばしていければ、球数をもう少し抑えられるのかなと思います」と語った。

地元・千葉県出身でマリーンズファンの期待も大きい。現在は育成選手だが、ファームで圧倒的な成績を残し、支配下選手登録となり、今季こそプロ初勝利を挙げたいところだ。

取材・文=岩下雄太

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