『ゆるキャン△ SEASON3』は「千明ちゃんがどんどんおじさんに」 原紗友里&豊崎愛生&高橋李依が“人間関係の変化”を語る

(左から)高橋李依、原紗友里、豊崎愛生 クランクイン! 写真:小川遼

女子高校生がキャンプをしたり、日常生活を送ったりする様子をゆるやかに描く漫画『ゆるキャン△』(芳文社)。ドラマ、アニメ映画化とさまざまなメディア展開をしてきた本作のテレビアニメ『ゆるキャン△ SEASON3』が、4月4日(木)から、AT‐X、TOKYO MXほかで放送中だ。今回は、大垣千明役の原紗友里、犬山あおい役の豊崎愛生、斉藤恵那役の高橋李依にインタビュー。『SEASON3』の見どころに加えて、リアルな人間関係の変化が描かれているという本作の魅力について語ってもらった。(取材・文=M.TOKU/写真=小川遼)

■「いつの間に!?」と思うくらい自然な変化

――まずはテレビアニメ『SEASON3』の制作が発表されたときの感想を教えてください。

原:第1作目をやった後、『へやキャン△』、アニメ『SEASON2』、そして映画と一気に発表されたこともあり、勝手ながら「映画が一区切りかな?」と思っていたんです。そしたら、まさかの『SEASON3』。本当に予想してなかったので、すごくうれしかったです。ここまできたら『SEASON4』も…みたいな(笑)。

豊崎:『ゆるキャン△』って、お客さんの熱量がすごいんです。皆さんがテレビアニメシリーズや映画を見てくださって、キャンプブームを一緒に作ってくださったおかげで、『SEASON3』につながったと思っています。まずは一緒に作品を楽しんでくださった皆さんに感謝ですね!

高橋:映画を作り終えたとき、制作陣の皆さんにとって、非常に満足のいくものを作れたんだなという空気を感じていて。そうやって走り抜けた感があった中でも、まだ原作の続きを見たいというスタッフさんのエネルギーがあって『SEASON3』という形になったのかなと思っています。だからこそ「その灯を消しちゃいけない!」と思いましたし、アニメ続編がスタートして、新体制になっても、しっかりと走り続けられているんだなと実感しました。

――『ゆるキャン△』は変わらない良さもある作品ですが、これまでを経て、キャラクターたちの変化を感じている部分はありますか?

豊崎:変化が分かりやすいのは志摩リンちゃんかな。個人的に本作はリンちゃんが成長していく物語でもあると思っています。リンちゃんって、みんなの呼び方の変化で、距離感がちょっとずつ変わっていると分かる感じがあって。

原:そう! 「ここがきっかけで仲良くなりました」ということではなく、「気が付いたら名前で呼び合ってるじゃん!」というのが、『ゆるキャン△』の良さだよね。

豊崎:恵那ちゃんも「斉藤さん」から呼び方変わったもんね。

高橋:そうなんです。「斉藤さん」って呼ばれていたはずなのですが、いつの間にか「恵那ちゃん」と呼ばれるようになっていて。ナチュラルな移行でしたね。

豊崎:「いつの間に!?」と思うくらい自然な変化が『ゆるキャン△』にはいっぱいあって。『SEASON3』でこの3人がキャンプに行く話があるのですが、それも当然のように描かれていました。

高橋:仲良しですよね!

原:うん! 山中湖キャンプのとき(『SEASON2』の第5話)はちょっと珍しい組み合わせかもと思っていたけれど、『SEASON3』でこの3人がキャンプに行くのは、もう当たり前でしょっていう印象になっていて。

豊崎:(各務原)なでしこちゃんも最初はみんなが「大丈夫かな」と心配しちゃうような存在だったのが、いつの間にかいろいろと一人でできるようになっていて。

原:前とは違って「まぁ、なでしこならできるよね」という印象になっている気がします。

■千明ちゃん、おじさん化!?

――続いて、お互いのキャラクターの印象についてお聞かせください。

原:あおいちゃんは一見すると穏やか&ほわほわ系ですが、意外とツッコミにキレがあるし、ボケたりもする。ただ、千明としてはずっと仲良しの存在で、すごく自然な会話をできる相手なのかなと思っています。

高橋:確かに。二人は幼なじみで、恵那ちゃんの知らないここまでの歩みがあったと思います。それでも3人でいても居心地がいいと思わせてくれるのが、あおいちゃん。恵那ちゃんが野クル(本栖高校野外活動サークル)に顔を出せるのも、「あなたはあなた」を地でいくあおいちゃんがいてくれるからでもあると思います。

原:距離感を相手に合わせるのがすごく上手。なでしこのことは「なでしこちゃん」ってすぐに呼ぶけど、リンちゃんに対しては「志摩さん」って言っていて。それはリンちゃんが「犬山さん」って呼んでいたからなのかなと私は解釈しています。相手が「私とはこれくらいの距離をとりたいんやな」と思って、自然と合わせられるのがあおいちゃんかなと。

高橋:なるほど、私が感じていたのは、その心地よさなのかも!

豊崎:周りを俯瞰(ふかん)して見ているし、みんなのことを気にかけているけれど、何かを強要したりはしなくて。映画の世界線ではあおいちゃんが小学校の先生になっていますが、その片りんを『SEASON3』でも感じられます。そんなあおいちゃんが一人で活躍するお話があるとかないとか…!? お楽しみに!

高橋:次は私! 恵那ちゃんってどうです?

原:最初は不思議な子だと思っていたけれど、長く一緒にいるとこのぐらいのテンション感で冗談を言いたい子なんだというのがつかめた気がする。ミステリアスさをあまり感じなくなったというか。

高橋:あんなにふわーっとしているのに、実はたくらんでいることもあって。それが悪いことではなく、「ふっふっふっ、実は」くらいのものというか。あの温度感は唯一無二な気がします。それを心地いいと思ってもらえる間柄になっていたら、うれしいですね!

豊崎:恵那ちゃんはつかみどころが難しいキャラクターだけれど、実は自然体な子で、自分のペースをきちんと持っているよね。自分の楽しみ方を知っているというか。お芝居もちょっとのさじ加減で皆さんの印象が変わるキャラクターだと思うけれど、李依ちゃんは絶妙な塩梅(あんばい)で演じているよね。

高橋:うわー! ありがとうございます! 恵那ちゃんって一言で表すのが難しい子で…。演じる上でも、毎回新作が始まるたびに声のチューニングを擦り合わせているんです。でも、周りの皆さんが変わらぬキャラクターで掛け合ってくれることで、恵那ちゃんが自然と生まれてくると感じています。

――続いては部長です!

高橋:もう「千明がいなかったら…」という感じですよね!

豊崎:野クルの中心です。個人的に『SEASON2』、『SEASON3』では、千明ちゃんがどんどんおじさんになっている気が(笑)。

原:そうなんですよねぇ(笑)。

豊崎:リアクションとか趣味とか、あとはキャンプ飯を見ても「これはなかなか大人。渋い趣味の子だな」と感じています。

原:ちょくちょく「こういうのでいいんだよ」みたいなことを言うようになってきている。もうちょっと経ったら、「こういうのでいいんだよ(ぐびぐび)」みたいになりそう(笑)。

豊崎:面白い子だよね。私、原作を読んでいるとき、千明ちゃんのセリフは原ちゃんの声で脳内再生されるの。

高橋:わかります!

原:原作でいわゆるギャグシーンがあるたびに「このシーンがアニメになったら、何とかせねば」という心構えをしています。そのおかげもあるのかな?

高橋:求められること多くないですか? テロップを背負っていたり…。

原:確かに! テロップを背負っているし、みんながしない顔をよくする。まだ新しい引き出しがあったんだなって驚くばかりです。

豊崎:でもそんな千明がいるからこそ、野クルは成立しているというか。一番ストーリーを動かす人だなと思っています。

■あのシーンもアニメ化?

――ちなみに皆さんはアウトドアを含めて、小旅行を最近しましたか?

豊崎:この前、富士山のふもとでキャンプをしました。どんどん新しいキャンプ場ができているんですが、この前行ったのも昨年オープンしたキャンプ場で、真冬の極寒キャンプを楽しみました!

高橋:私はグランピングに行きました。身一つで行って、空調の利いた部屋でダラダラしながら過ごし、待っていたらご飯が出てくる…そんな楽ちんキャンプをしてきました(笑)。

原:私はお仕事で甲府に行ったのですが、それがちょうど「信玄公祭り」をやっているときでして。年にいちばん甲府が混んでいる時期ですよと関係者の方が言っていました。

高橋:どうでした?

原:甲冑(かっちゅう)の格好をした人たちが練り歩いていて! 街中が合戦…いや、戦ってはいないんですけれど、そういう雰囲気はありました。お土産屋さんには『ゆるキャン△』のグッズがたくさんあったんですよ! しかも常設コーナーに。ありがたいことに『ゆるキャン△』が街になじんでいました。

高橋:旅先で『ゆるキャン△』に出会えるとうれしいですよね!

豊崎:この前、サービスエリアの道中でコーヒーを買うのを待っていたら、後ろの子たちが『ゆるキャン△』の話をしていて! 私も混ぜてほしかったなぁ。

原:聞き耳を立てちゃうよね。

豊崎:キャンプが元々好きな人も、最近始めた人も作品を知ってくださっているのが、うれしいです!

――最後に『SEASON3』の見どころを語っていただければと思います!

高橋:『SEASON3』では、原作通りにあのシーンをアニメ化してしまう…というところがたくさんあります。あれをテレビで放送して、みんなついて来れるかな(笑)? でも「これぞ『ゆるキャン△』なんだ」という空気感をお届けしたいと思っていますので、ぜひ全話楽しんでいただけたらうれしいです。

豊崎:今回もガチなキャンプ情報が盛りだくさん! そして、飯テロあり、ワンコ要素あり、あとは松ぼっくりも出てきます。癒やされてとっても笑える作品ですので、『SEASON3』もぜひ応援してください。

原:序盤の見どころでいえば、原作通りに千明の髪の毛があんなことに! あと私はちくわも演じているのですが、後半にはちくわの見どころもあります。あれもこれも話したいところですが、まずは全話見ていただいて、その後に皆さんと語らいたいですね。『SEASON3』もよろしくお願いします!

© ブロードメディア株式会社