長崎県内高初ケニア人ランナー誕生 鎮西学院・サイモン・ムッソーニさん(16) 3000m記録8分7秒台 都大路初入賞へ「力になりたい」

この春、鎮西学院高に入学するサイモン=諫早市、鎮西学院高グラウンド

 男子駅伝で全国大会に16度出場している鎮西学院高に今月、ケニア人留学生のサイモン・ムッソーニ(16)が入学する。ケニア人ランナーの入学は長崎県内初。強力なルーキーを加えたチームは、年末の全国高校駅伝で初入賞を目指していく。
 鎮西学院高は昨年末の全国高校駅伝で23位。2月の県高校新人駅伝は区間賞を独占するなど、県内で頭一つ抜けている。ここにサイモンを迎え入れ、全国でも上位に絡めるチームづくりを図る。
 高校駅伝は留学生を擁するチームが上位に並ぶケースが多く、勝負に与える影響が大きいとして、今年から留学生の起用を最短区間(3キロ)に限定するようルールが改定された。鎮西学院高にとっては不利に働く変更だが、入江初舟監督は「サイモンは即戦力になるだけじゃなくて、周りにも好影響を与えてくれるはず。毎日が国際大会のようになればいい」と期待の大きさは変わらない。サイモン効果で他の部員たちも引っ張られるように速くなる好循環を見込んでいる。
 サイモンの持ち記録は3000メートルが8分7秒台、5000メートルが14分11秒台。どちらも標高2000メートルでマークしており、平地では20秒ほど速くなると見込まれる。身長156センチと小柄ながら、外国人留学生ならではの柔らかな走りが魅力。5000メートルと1万メートルの日本学生記録を持つリチャード・エティーリ(東京国際大)、一昨年の都大路で倉敷高(岡山)の優勝に貢献したサムエル・キバティのように活躍するのが夢で「自分の競技力を証明したい」とデビューの時を心待ちにしている。
 3月中旬に来日し、学校のすぐそばにある陸上部の寮へ。「ケニアより寒いけれど問題ない。おすしと温泉が好き」と少しずつ新生活に慣れてきた。性格も明るく、片言の英語を使ってチームメートとの交流も楽しんでいる。
 全国高校駅伝でのチーム最高順位は1982年の11位。県勢としても2001年に諫早高が6位となって以来、入賞から遠ざかっており、こうした歴史を塗り替えるのが目標だ。期待の1年生は「インターハイでいい成績を残したいし、駅伝で力になれたらうれしい」と意気込んだ。

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