三代目JSBの最新アルバム堂々首位 明確なカラーやライブの魅力を発信するパッケージに

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参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2024-04-08/

2024年4月8日付のオリコン週間アルバムランキングで首位となったのは、三代目 J SOUL BROTHERSのニューアルバム『Land of Promise』で、推定売上枚数は67,933枚だった。続いて2位にはBTSのメンバー、J-HOPEのスペシャルアルバム『HOPE ON THE STREET VOL.1』が29,650枚でランクイン。3位はHYBE傘下・BELIFT LAB所属の新人女性グループILLITのデビュー作、1stミニアルバム『SUPER REAL ME』(11,323枚)だった。

ほか、トップ10圏内の初登場作品としては、4位祖堅正慶『GROWING LIGHT:FINAL FANTASY ⅩⅣ Original Soundtrack』(8,562枚)、5位She is Legend『春眠旅団』(7,634枚)、7位GLAY『THE FRUSTRATED Anthology』(5,242枚)、8位『PSYCHO-PASS 10th ANNIVERSARY BEST』(4,864枚)、9位『Paradox Live 3rd album "ANTHEM"』(4,177枚)、10位雨宮天『Ten to Bluer』(4,058枚)があった。

さて、今回取り上げるのは首位の三代目 J SOUL BROTHERS(以下、三代目)『Land of Promise』。アルバムとしては2021年11月のベストアルバム『BEST BROTHERS / THIS IS JSB』以来、オリジナルアルバムとしては2020年3月の『RAISE THE FLAG』からほぼ4年ぶりとなるリリースだ。

ただし、オフィシャルな情報では「オリジナルアルバム」と呼称されているものの、収録内容は2022年から2023年にかけてリリースされていた既発曲が6曲で、ランニングタイムも20分強。どちらかというとミニアルバムやEPというべきスケール感だろう。実際、SpotifyやApple Musicでの分類はEPになっている。

楽曲はまさに三代目らしいEDMポップ(「Awakening Light」「STARS」)をはじめ、エレクトロ(「REPLAY」)、ミドルテンポのボーカルチューン(「VII CROWNS」)、そしてビートの効いたバラード(「Hand in Hand」「この宇宙の片隅で」)がタイトにまとまっている。昨年11月にリリースされ、ドームツアーのオープニングも飾った最新楽曲「Awakening Light」は、近年ボーイズグループ・ガールズグループを問わず耳にする機会がぐんと増えたジャージークラブ的なキックのパターンが力強く取り入れられているのが印象的だ。

独立したフルアルバムとしてまとまった世界観を提示するというよりは、アリーナツアーやドームツアーを通じて表現してきたここ数年間の活動に、ひとつの区切りをつける意味合いが強いのかもしれない。実際、映像ディスク付きのエディションでは最新のドームツアーからの映像を収録しており、同じ音源がストリーミングでも配信されている。

素直なことをいえば、没頭して楽しむならば、断然ライブ音源のほうが楽しい。会場の空気感を伝えるために音質という点ではちょっと気が散るところもあるけれども、いきいきとしたパフォーマンス(いや、サブスクではもっぱらボーカルのパフォーマンスしか楽しめないわけだが……)やそれに応える観客の熱狂には、ファンでなくとも心を捉えられてしまう。スタジオ音源においては、ダンス寄りの楽曲でボーカルにフォーカスするのかビートにフォーカスするのかサウンドのバランスが少しどっちつかずなところがあるのが原因かもしれない。実際、ボーカルを中心に据えたバラードはスタジオ音源でじっくり楽しむほうが勝ると思う。

次々と新世代グループがデビューするなか、グループの明確なカラーを示しつつ、パワフルなライブ音源でその魅力を発信する。三代目の貫禄を感じるリリースだった。

(文=imdkm)

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