大坂なおみ 苦手なクレーコートなのに全仏オープンからパリ五輪を狙う理由

3月のマイアミオープンは3回戦で敗退だった大坂(C)ロイター/USA TODAY Sports

【スポーツ時々放談】

桜も開きスポーツの春到来だが、大谷翔平のトラブルでいまひとつ盛り上がりに欠ける。衝撃のニュースだから仕方ない。吹っ切れる話題はないか探ると、大坂なおみがいた――何かやってくれるのではないか。

グランドスラム4勝、差別抗議のマスク、メンタルヘルスを提唱し、最終聖火ランナーに登場、そして妊娠~出産……立て続けにサプライズを投げたビックリ女子、多様性の女王が来週末、東京で開催の女子国別対抗戦BJK杯に帰国する。昨年7月に生まれた長女を連れての凱旋だろうか。

今年のオーストラリア・シリーズからコートに復帰した大坂は、ここまで6大会に出場して8勝6敗。3月には世界15位のサムソノワ、17位のスビトリーナを粉砕し、全豪時に831位だったランキングを192位まで戻した。帰国目的はパリ・オリンピックだ。

オリンピックのテニスは64ドロー。56人はランキング順で(1国から4人まで)、5大陸推薦で6人、国際テニス連盟と地元協会推薦で1人ずつ。ツアーには、故障や妊娠などを勘案したプロテクトランキング(女子はスペシャルランキング)があり、それでは大坂は46位、現在649位のナダルは6位、錦織圭は48位。ただし、五輪出場条件には国への貢献、国別対抗戦の実績が求められるのだ。

大坂のメジャー4勝はすべてハードコートだった。五輪会場にもなるクレーコートの全仏の勝率は58%と、4大大会の中で最も低い。苦手のコートにもかかわらず、今月にはフランスのWTA250に推薦出場を申請するなど、全仏→五輪を狙うのはなぜか。

振り返れば、歯車が合わなくなったのは3年前のパリだ。前哨戦で初戦敗退し「クレーに弱い」と酷評され、これがわだかまりになって全仏1回戦後の会見を拒否。ペナルティーに対し2回戦棄権で応戦し、そこから「うつ病」論争に発展してウィンブルドン欠場へ……パリが発端だった。

26歳のこの夏、母になった大坂なおみは3年前のパリからやり直したいのではないか。楽しく賑やかに見守りたいのはもちろんだが、国別対抗戦は代表出場の意思さえ示せば、欠場しても酌量される。ビックリ女子だけに過度の期待は無用ということも、頭の片隅に入れておく。(武田薫/スポーツライター)

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大坂なおみは妊娠発表により商品価値がハネ上がったという。それまでの数々の醜聞と不振に加え、長期間コートを離れることになったのに、いったいなぜか。

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