23年県警受理110番、過去10年で最多 前年比12%増で2年連続 コロナ緩和が要因か

 県警が2023年に受理した110番件数は前年比1万7771件(12%)増の16万2525件で、22年に続き過去10年で最多となったことが5日までに、県警のまとめで分かった。いたずらなどを除く有効件数も1万3705件(12%)増の12万9596件で過去10年で最も多かった。県警は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い人の流れが活発になり、刑法犯や交通事故などの通報が増えたとみる。一方、一部スマートフォンの緊急通報機能による誤発信などで無効件数も増え、総数を押し上げた。

 県警通信指令課によると、13年に14万3618件だった110番件数は年々減少し、20年はコロナ禍の外出自粛などに伴い12万件台に減った。一方、その後は行動制限の緩和などにより3年連続で増えた。23年は県内の刑法犯の認知件数が20年ぶり、交通死者数が6年ぶりに増加に転じ、110番の増加にもつながったと県警は分析する。

 23年の通報内容の分類区分別では「交通関係」が4万4974件で最も多く、110番全体の4分の1以上を占めた。「相談・要望」が1万6842件、同じ案件についての110番を指す「続報」が1万5896件と続いた。

 1日平均は445件。最多は12月29日の629件で年末のため人の動きが多くなったとみられる。

 いたずらや間違い、無言電話などの無効件数は4066件増の3万2929件で、3年前の20年に比べ件数は約2倍に増加。割合は110番全体の2割に上った。県警は前年と同様に一部のスマートフォンに搭載された緊急通報機能の誤発信などが主な要因とみている。そうした誤作動について担当者は「操作者に気を付けてもらうしかない」と話す。

 無効の110番の増加について担当者は「緊急対応が必要な事案に手が回らなくなる」と危惧する。一方、「緊急性の高い事件事故などはためらわずに通報してほしい」と適正利用を呼びかける。緊急でない相談や要望については、専用ダイヤル「♯9110」の活用を促している。

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