河合優実・新スター誕生『ふてほど』が話題独占の1月期ドラマ、最終回コア視聴率TOP3で分かる「勝ち組の法則」

※画像はドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)公式ホームページより

2024年1月クールの連続ドラマがすべて、最終回を迎えた。今期は阿部サダヲ(53)主演、宮藤官九郎氏(53)脚本の『不適切にもほどがある!』(TBS系/金曜夜10時~)が大旋風を巻き起こして話題を独占。『ふてほど』一色に染まったと言っても過言ではないだろう――。

「この1月期も多くの作品が放送されましたが、現在、テレビ界が最重要視している13~49歳のコア視聴率を見ると、“勝ち組ドラマ”は視聴者人気を獲得する普遍的な要素を持っていると言えそうです」(ドラマ制作会社関係者=以下同)

今回は、最終回のコア視聴率TOP3をランキング形式で紹介していく。

■第3位『厨房のありす』(日本テレビ系/日曜夜10時30分~)

主演:門脇麦(31)、最終回(3月24日放送)のコア視聴率…3.4%(関東地区/ビデオリサーチ調べ、以下同)

『厨房のありす』は、自閉スペクトラム症の女性料理人・八重森ありす(門脇)を主人公に、謎めいた青年・酒江倖生(King&Princeの永瀬廉/24)やありすの父親・心護(大森南朋/52)、幼馴染の三ツ沢和紗(前田敦子/32)など多くの人々と交流するハートフル・ミステリードラマ。

「主演である門脇さんの演技が圧倒的で、見ているだけで泣けてくるともっぱらでしたね。そして、お相手役の永瀬さん、さらにはサブキャラクターを演じる俳優陣も全員が良かった。“主演と脇を固める役者の演技力”は、本作に限らず重要ですよね」

門脇や永瀬の演技には、

《話も良かったし何より門脇麦さんの演技が自然で凄い。今期でも、上位ぐらい良かった!》
《ありす可愛いし、あんまり好きじゃなかった永瀬廉くんを一気に好きになった》

といった視聴者からの声がX(旧ツイッター)に多く寄せられている。

「永瀬さんは、『新・信長公記』(日本テレビ系/2022年7月期)を筆頭に主演や2番手を務めた作品の数字がイマイチと言われてきましたが、『厨房のありす』で風向きが変わったところがありそうです。

永瀬さんは陰のある役をやらせるとハマると評価されていますが、『厨房のありす』の“酒江倖生”はハマリ役でしたね。同作はほっこりするハートフルな世界観の評判が良く、永瀬さん演じるキャラが少しずつ心を開いていく感じも良かったですよね」

■2位は話題を独占した作品

■第2位『不適切にもほどがある!』(TBS系/金曜夜10時~)

主演:阿部サダヲ、最終回(3月29日放送)のコア視聴率…3.8%

宮藤官九郎氏が脚本を手掛ける『ふてほど』は、昭和61年(1986年)を生きるスパルタ体育教師・小川市郎(阿部)が、突然38年後の令和6年(2024年)にタイムスリップしてしまうコメディドラマ。コンプラ厳守のあまり息苦しい令和と、無神経過ぎた昭和。何が正しくて、何が“不適切”なのかを考えさせられる作品。

「“クドカン脚本”のブランド力、題材の面白さに、現代なら問題になる“不適切発言”を謝罪テロップとともに連発する演出の楽しさ、元関ジャニ∞(現『SUPER EIGHT』)・錦戸亮さん(39)をはじめとする豪華なゲスト出演者などなど、とにかく話題性が抜群でした。昭和から令和に進む間で避けられない阪神淡路大震災に触れたり、最近のドラマづくりでの流行りの“SNSでの考察”や“伏線回収”をテーマにした回もあったりと、“さすがクドカン!”という作品でしたよね」

俳優陣は阿部、吉田羊、山本耕史(47)、仲里依紗(34)など演技派揃いだが、特に注目を集めたのが主人公の娘・純子役の河合優実(23)だった。

「河合さんは『ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞』など映画の賞を何度も受賞している実力派の若手俳優でしたが、『ふてほど』で知名度が急上昇。本格的にブレイクの兆しを見せています。

『ふてほど』はミュージカルを意識した演出がありますが、河合さんは歌唱力の高さ、感情の乗せ方のうまさも注目を集めました。すでに知られた人気俳優だけでなく新スターが誕生して盛り上がる――これも“勝ち組ドラマ”のあるあるですよね。

同じクドカン作品で言えば、有村架純さん(31)が『あまちゃん』(NHK/2013年前期)に出演し、 “あのかわいい子は誰!?”と注目を集めブレイクした例がありますよね」

河合の演技には、

《河合優実この世の誰よりもかわいいし、世界一聖子ちゃんカット似合う》
《河合優実、もうスターだな。じきにカリスマ化するだろう。カメレオン性、佇まいと声の演技がすばらしい》

といった声がXに多く寄せられている。

■1位作品にあった攻めたSNS戦略

河合の演技を宮藤氏は3月30日放送の『伊集院光&佐久間宣行の勝手にテレ東批評』(テレビ東京系)で「もう褒める時間、いくらあっても足りないぐらい褒めたい」と絶賛。

同ドラマの磯山晶プロデューサーも「私たちとしては、“抜てきした”というよりも、むしろ“こんな遅くにオファーしちゃってすみません”という気持ちです」と、スポーツ紙の取材で話していた。

「『ふてほど』は、平日金曜の夜という家にまだ帰っていない視聴者も多い枠の作品でしたが、それでも最終回は3.8%と高視聴率だった。土日だったら、もっと数字が良かったのではないでしょうか」

そんな『ふてほど』を超えた、最終回のコア視聴率1位のドラマは――。

■第1位『新空港占拠』(日本テレビ系/土曜夜10時~)

主演:嵐・櫻井翔(42)、最終回(3月16日放送)のコア視聴率…4.1%

櫻井主演の『新空港占拠』は、23年1月クールに放送されヒットした『大病院占拠』の続編。“人気でシリーズ化した作品”というところで放送前から強いアドバンテージがあった本作が、1月クールの最終回コア視聴率1位のドラマとなった。

「『大病院占拠』はツッコミどころの多い雑なCGなど当初“ネタドラマ”として注目されるも、見てみるとシナリオが良くできていて、ドキドキハラハラの展開で多くの視聴者を虜にした作品でした。

第2弾の『新空港占拠』は演出面のツッコミどころは減りましたが、敵組織がわざわざ“走るのを止めると感電死するルームランナー”など、異常に手の込んだ拷問マシーンを作っていた件などには、視聴者から《ギャグに思えてきた》といった声がありましたね」

また、櫻井演じる武蔵三郎刑事は「嘘だろ」が口癖だが、『新空港占拠』では前作に比べて明らかに「うっそだろぉ……」のように“濃い演技”になっていたため、

《妻が捕まっているのを見るシーンで、このギャグみたいな嘘だろはおかしいだろw》
《そこら辺の芸人の一発ギャグより面白い「嘘だろ」》

と、一部視聴者に、もはや一発芸のようなノリで受け入れられている。

「『新空港占拠』は前作がSNSでバズった経緯を踏まえてか、公式YouTubeやTikTokが、“違法アップロードにしか見えないダイジェスト”など面白ムービーを多数投稿する戦略も行なっていました。公式を含めてSNSがバズって結果、ドラマが注目を集めるというのも、作品が流行る黄金のパターンですよね」

主演俳優の高い演技力、脚本の圧倒的な面白さ、新スターの誕生、SNSをバズらせる戦略――1月期ドラマの最終回コア視聴率TOP3の作品には、普遍的と言えそうなヒットの法則が詰まっていた。もうすぐ始まる4月クールの連続ドラマでは、どの作品が多くの視聴者を集めるのだろうか――。

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