【京都・一乗寺】わざわざ行きたいベイクショップ「Le temps du goût(ル タン ドゥ グー)」の珠玉の焼き菓子

今回訪れたのは、京都の一乗寺。京阪線の終点「出町柳」で降りて、一両編成の叡山電鉄に乗り換えて3駅先。京都市街より少し足を伸ばさないといけないエリアです。周辺は大学があるため学生の街とも知られていて、ラーメン激戦区。そんな一乗寺に美味しい焼き菓子を作っているお店があると聞き、取材に行きました。

「ちょっと足を伸ばさないといけないけど、それだけの価値がある」と思わせてくれるハイレベルなお菓子ばかり。わざわざ行きたい「Le temps du goût(ル タン ドゥ グー)」のお菓子を紹介します!

目には見えないけど、確実に感じる「味わい」を楽しんでほしい

店主の山下さんは、パティスリーやレストランで修行を積んだ後、2023年6月に「Le temps du goût(ル タン ドゥ グー)」をオープン。フランス語で直訳すると”味の時間”ですが、山下さんは「嗜好の時」として、お菓子や珈琲といった嗜好品を通して、落ち着いた時間を楽しんで欲しいという想いを込めているのだとか。

お店に入ると10種類ほどの焼き菓子が並ぶ棚と、奥には一枚板のオシャレなカウンター席。山下さんの作業風景を見ながらコーヒーやイートイン専用のデザートが味わえます。

他にもテーブル席が3組。柔らかい日差しが差し込み、気持ちよく過ごせそうです。レストラン出身の山下さんがお酒好きで、お酒とお菓子を一緒に楽しんでほしいとのことでワインセラーも置いてあります。

こちらがテイクアウトで購入できる焼き菓子。カヌレやマドレーヌ、カカオのサブレといった定番の人気焼き菓子から、完熟バナナと焦がしバターのフィナンシェ「バルケットバナーヌ」や「生姜のパンドジェンヌ」など、なかなか出会えなさそうなものまで。

とても丁寧に解説してくれるので、迷ったらぜひ山下さんに質問してみてください!

コーヒーと栗の相性が抜群♡滅多に販売されないタルトカフェ

最初に紹介するのは、「タルトカフェ」。自家挽きした珈琲豆を混ぜ込んだタルト生地の中に珈琲と栗の二種類、二層のアーモンドクリームに砕いた栗のコンフィが。コーヒーの渋みと栗の優しい甘みが驚くほどマッチしています。

タルトの表面には粗めに砕いたヘーゼルナッツと珈琲のクランブルを乗せて焼き上げており、仕上げにはローストしたナッツをチョコに混ぜて作る自家製のジャンドゥジャ・ノワゼットのショコラオレ。

「市販のコーヒー豆では苦味が強く、コーヒーの香りが不自然に感じてしまって。自家製で挽いてそのまま生地に抽出するイメージで使い、少し粗めの粉末がまた独特の食感と味わいを生んでます」と山下さん。

ここまで構成にこだわった焼き菓子にはめったに出会えません。聞けば、手間暇がかかるため店頭に並ぶことは珍しいのだとか。もし店頭で出会えれば、絶対手に入れてほしい逸品です!

しっとり&サクサク、両方の食感が味わえるプティ アールグレイ フランボワーズ

次に、コロンと小さく可愛らしい「プティ アールグレイ フランボワーズ」。アールグレイの茶葉を混ぜ込んだパウンド生地は、かなりしっとりしていて濃厚な味わい。ですが、歯につくようなねっとり感はなく、歯切れの良さも絶妙です。

中には種入りのフランボワーズジャム。苦味があるアールグレイとの相性は間違いありません。さらにその上にサクサクと軽い食感のダコワーズが重なり、しっとりとサクサクの両方を味わえる贅沢なお菓子です。

爽やかな香りが鼻を抜ける生姜のパンドジェンヌ

パンドジェンヌとは、アーモンドプードルをたっぷり使ったキメ細かい生地が特徴のリッチな伝統菓子。このパンドジェンヌを求めて訪れるお客様も多いそうです。生姜と聞くとクセがあるイメージもありますが、生姜を感じるのは「香り」のみ。爽やかでキレのある香りのおかげで、リッチな配合の生地なのに軽く食べられます。

生地の表面にアプリコットのジャムとグラスアロー(糖衣がけ)で重ねコーティングしたパンドジェンヌ。後を引く美味しさで、リピーターが続出しているのも頷けます。

濃厚な味わい、でも軽い。イートイン限定シュークリームは必食の価値あり

シュークリームはイートイン限定です。一般的にテイクアウトできるシュークリームが、なぜイートイン限定?と思われるかもしれませんが、食べてみるとその理由がわかるはず。

オーダーが入ってからシュー皮をリベイクして、皮の香りとサクサク感を味わえるようにしているそう。そしてトロトロのディプロマットクリームを詰め、まさに「出来立てのシュークリーム」が提供されます。

ディプロマットとは、生クリームとカスタードクリームを合わせたものです。生クリームは合わせる際に泡立てるのが一般的ですが、「Le temps du goût(ル タン ドゥ グー)」 はあえて泡立てないのだとか。濃厚な味わいですが、液体のようにサラッと軽い口当たりで溶けてなくなるクリーム。これは確かに、テイクアウトではなく出来立てで食べたいシュークリームです。

「パティスリーのショーケースに並ぶ生菓子とは別のアプローチで、その場で食べる出来立ての味わいをもっと表現していき、自身もお客さんも楽しんでいけたらと思ってます」と山下さん。

使いたい素材を「これだ」と決めて、素材の特徴を細分化して、様々なアプローチを仕掛ける。当たり前に使うより、一手間かけてグレードアップさせる。パティシエとしてそんな楽しさを感じながら、日々お菓子作りに励んでいるそう。

紹介しきれませんが、他にもサブレやチーズケーキなど、素材の魅力と山下さんの技術がぎゅっと詰め込まれた珠玉のお菓子ばかり。オンラインショップでのお取り寄せは残念ながらありません。京都を訪れた際は、ぜひ足を伸ばしてみてください。

About Shop
Le temps du goût(ル タン ドゥ グー)
京都府京都市左京区一乗寺地蔵本町30-3
営業時間:10:00〜17:00
定休日:毎月インスタグラムにてお知らせ

あかざしょうこ

ウフ。編集スタッフ

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関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。

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