「紅麹サプリ」の小林製薬 安倍元首相と自民党に「34年間で計1391万円」モーレツ献金の過去

小林製薬から長年献金を受けていた(安倍元首相)/(C)日刊ゲンダイ

自民党の裏金事件を受けた政治改革特別委員会が来週にも衆参両院に設置される見通しだ。焦点はザル法の政治資金規正法改正だが、自民にヤル気なし。立憲民主党など野党は癒着につながる企業・団体献金の廃止や政治資金パーティー禁止などを求めているが、反応は極めて鈍い。外部監査導入程度でお茶を濁している。

企業・団体献金の温存によって財界に有利な政策ばかりが通り、行政が歪められる懸念はいまに始まったことではない。

そうした問題の一端が、5日の衆院厚労委員会で浮かび上がった。紅麹原料を使ったサプリメントによる健康被害の拡大が疑われている小林製薬と自民党の関係だ。小林製薬は安倍元首相が代表を務めていた政党支部と、自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)に長年にわたって献金し続けてきたというのだ。問題のサプリはアベノミクスの成長戦略の一環で生み落とされた機能性表示食品のひとつ。規制緩和によって2015年4月に制度が始まった。

質疑に立った立憲民主党の柚木道義議員によると、小林製薬は安倍元首相の政党支部に2022年までの10年間で計280万円、国政協には22年までの34年間で計1391万円を献金していたという。毎年欠かさずだ。

■利害関係にあるような企業・団体献金は禁止すべき

機能性表示食品のどこが問題なのか。消費者庁が1件ずつ審査して許可するトクホ(特定保健用食品)と異なり、安全性に関する科学的根拠を届け出るだけで商品に「コレステロールを下げる」といった文言を表示できる。お手軽なのだ。中小企業の参入も相次ぎ、マーケットは急成長。23年の市場規模は18年と比べ、5年間で3倍超の6865億円(富士経済調べ)に拡大した。こんな背景もあり、小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」は23年12月期に約6億円の売り上げだったという。

小林製薬からどの程度の働きかけがあったかは判然としないが、安倍首相の鶴の一声で実現した規制緩和によって国民の健康は脅かされている。5日の厚労委で柚木議員は「利害関係にあるような企業・団体献金は禁止すべき」と指摘していたが、その通りだろう。政治評論家の本澤二郎氏が言う。

「営利企業が純粋な善意だけで献金することはまずあり得ず、自分たちに有利な制度設計を政治家に期待するものです。小林製薬による安倍氏や自民党への献金は利益誘導を疑われても仕方ありません。しがらみを断つために、即刻廃止すべきです。そもそも、企業・団体献金をなくす目的で1995年に税金を原資とした政党交付金の制度が導入されている。にもかかわらず、企業・団体献金を受け続けるなど道理が通りません」

岸田首相はこの期に及んでも腰を上げないつもりか。

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