「エフレイと多分野で連携」 東北大の冨永学長が就任会見

 とみなが・ていじ 矢吹町出身。安積高、東北大医学部卒。同大大学院教授などを経て、2019年から副学長、東北大病院長を務めた。研究分野は脳血管性障害の外科治療、脳神経外科学一般。66歳。

 東北大の冨永悌二(ていじ)学長(66)=矢吹町出身=は5日、同大で就任会見を開き、福島国際研究教育機構(エフレイ)と共同で設置する連携大学院「放射線環境生体医学連携講座」をはじめとする連携プロジェクトを、多分野で継続的に進めていく考えを示した。

 冨永氏は「エフレイが推進するプロジェクトは、東北大と重なる部分がかなりある。具体的に『この分野のこのプロジェクト』という形で連携を進めていきたい」と述べ、講座設置を契機にさまざまな分野で連携していく意向を示した。

 浪江町を軸に検討する産学官連携の新拠点設置をはじめとする同大の「Fサイエンスパーク構想」への意気込みも示し「あの場所ならではの復興を加速する先端研究に取り組んでいきたい」と言及。被災地の地域課題解決に向けた学生のフィールドワークや東京電力福島第1原発の廃炉研究などこれまでの取り組みを踏まえ「今後も被災地に寄り添って復興を後押ししたい」と決意を語った。

 冨永氏は1日付で学長に就任した。任期は6年。

 研究進め復興に貢献

 冨永学長は就任会見で、福島国際研究教育機構(エフレイ)との連携強化や本県で新たな価値を創造する「Fサイエンスパーク構想」の推進などによる本県復興・創生の加速化へ決意を示した。

 ―就任の抱負を。
 「『国際卓越研究大学』の唯一の認定候補として選ばれ、選考過程にある。日本を先導する研究大学という役割と大きな責任を受け、負託に応えるという決意を表明したい」

 ―古里である本県復興にどう取り組むか。
 「震災を経験し、大学は内に閉じこもるのでなく社会のさまざまなステークホルダーと連携しなければならないと心に刻んだ。『Fサイエンスパーク構想』によって、復興加速化に向けたあの場所ならではの先端研究を進めていきたい。東北大に対し地元首長からは『若者に来てほしい』という期待が大きい。学生のフィールドワークの結果を自治体に返す取り組みを続けたい。(学内の)原子炉廃止措置基盤研究センターを中心に、廃炉研究にも積極的に取り組んでいる経過がある。今後も被災地に寄り添い、復興を後押ししたい」

 ―エフレイとどのように連携していくか。
 「エフレイと連携協定を結び、まず『放射線環境生体医学連携講座』の設置を発表したが、今後さまざまな面で連携を深めていく。エフレイが進める研究プロジェクトは東北大と重なるものがかなりある。具体的に連携が進むと確信しており、一番最初が共同講座だと思っている」

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