〈新NISA〉暴落・元本割れ、どう乗り越える?…積み立て投資で成功したい人が守るべき「たったひとつのルール」【投資アドバイザーが助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

投資した額よりも評価額が下回る「元本割れ」は、投資の世界では決してめずらしいことではありません。元本割れをすると動揺するのは当たり前ですが、何より重要なのはそのタイミングで投資を「やめないこと」です。本記事では『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』(KADOKAWA)から、著者の〈投資塾ゆう氏〉が、積み立て投資の最重要ルールたる「継続」について詳しく解説します。

元本割れする期間は必ずあると覚悟しよう

[図表1]は日経平均株価、[図表2]はS&P500に積み立て投資したときの試算結果です。どちらも20年という長期の積み立てをした結果、資産が大きく増えています。また、日経平均株価よりS&P500のほうが資産増加が大きいというのも一目瞭然です。

[図表1]日経平均株価に20年間積み立てた時の資産の推移 [図表2]S&P500に20年間積み立て投資をすると、資産が約2倍に

さらに、もうひとつ注目してほしい点があります。

日経平均とS&P500のいずれのグラフ(図表1・図表2)でも真ん中)のあたりに、投資した金額を示す直線よりも、評価額を示す折れ線が下回っている時期があります。これは、投資した額よりも評価額が下回っている状態、要するに含み損が出て元本割れしている状態です。

日経平均株価に投資している場合は53か月、S&P500であっても51か月の間、元本割れをしています。いずれも最終的には資産を大きく増やせているのに、それでも途中経過では4年以上にわたって、元本割れをしているのです。

元本割れの期間はS&P500でも4年と3か月です。20年のうちの4年以上というと、2割以上の期間が元本割れしていることになります。

この期間は、100年に1度の金融危機といわれたリーマンショックが2008年に起こり、株価が大暴落し、その後4年間にわたり株価が低迷した時期にあたります。20年もの長期の値動きの中では誤差程度の下落のように見えてしまうのですが、実際にはとんでもない大暴落で、S&P500はショック前の半値近くにまで値下がりしています。

もちろん株式市場は大パニック、世界中の株式市場がつられて暴落したのに加え、景気が冷え込み、深刻な大不況が訪れました。この時の投資家の心理状態は、どうなっていたでしょうか。

2000年から8年もコツコツと積み立て投資を続けて資産を順調に増やしてきたのに、突然それが半値近くまで暴落した状態です。せっかく長く続けてきた投資がいきなり半値にまで暴落しまったのですから、心が折れてしまう人が続出したであろうことは、容易に想像できます。

資産が半分になるようなひどい相場で投資を続けてもしょうがないと、せっかく続けてきた投資をやめてしまう人もたくさんいたでしょう。実際、様々な金融商品がこの時期にいっせいに投げ売られてしまいました。

しかし、グラフを見れば一目瞭然ではありますが、この期間を耐えて積み立て投資を続けていれば、2013年には含み損が解消されて利益に転じ、そのあとはグングン資産が増えています。これは、その相場の上昇が力強かったこともありますが、リーマンショックの安い期間に多く投資できていたからこその利益でもあります。

積み立て投資の成功に最も重要なのは「やめないこと」

積み立て投資は一括投資に比べてリスクが低い、利益を出しやすいなどと言われますが、損をしないわけではありません。むしろ、含み損になる期間は必ずある、運が悪ければ投資した金額の半分にまで評価額が減ってしまう時期もあると覚悟する必要があります。

それでもくじけることなく継続することで、利益に転じる局面が訪れるのです。

含み損の期間は、投資をする人ならだれもが不安な気持ちでいっぱいになっています。心配のあまり頻繁に証券口座にログインし、含み損が膨らんでいるのを確認してしまいがちです。よほど強靭なメンタルをしている人でない限り、「このまま投資を継続していたら、さらに株価は下落して資産が減っていくのではないか」という恐怖にかられてしまうでしょう。

積み立て投資の本質を理解していない人の中には、せっかく積み立てた資産を含み損の状態で換金してしまう人も少なくありません。そこまでではなくても、「回復の兆しが見えるまで積み立てはストップしておこう」と積み立てを停止したり、金額を減らしたりしてしまう人は多いのです。

これはとても残念なことです。積み立て投資でどれだけ成果を出せるかは、こうした相場の低迷期にどれだけ投資ができるかで決まります。むしろ積立額を増額してもいい局面なのに、ここで積み立てをやめたり減額したりすれば、あとから得られる利益は格段に小さくなってしまいます。

積み立て投資で守るべきたったひとつのルールは、スタートした時に決めた期間、金額、投資先は決して変えず、継続することです。積み立て投資を始めたら、決められた投資期間が終わるまでは増額以外の操作をするのは厳禁です。

長い投資期間の間には、元本割れするような相場の低迷期に直面することもあるでしょうが、そんな時にわざわざ証券口座にアクセスするのはやめておきましょう。必要もないのに含み損の額を確認し、自らのメンタルにダメージを与えてもメリットはありません。

永遠に下がり続ける相場はあり得ないので、待っていればいずれ戻ると考えて、積み立て投資をしていることを忘れるぐらいの気持ちで放置しておけばいいのです。

積み立て投資を成功させるために重要なのは、「積み立て投資をやめない」ことです。暴落局面ではやめてしまいたくなるものですが、売りたい、買いたい、怖い、逃げ出したいといった自分の感情には、決して従ってはいけません。

あなたも私も、投資の天才ではなく、凡人です。感情に基づく判断よりも、投資のルールのほうがはるかに優れていると肝に銘じて、歯を食いしばって投資を続けなければならないのです。

投資塾ゆう

投資アドバイザー

※本記事は『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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