イスラエルvsイラン全面衝突あるのか…中東情勢緊迫で東京株3万9000円割れ、原油価格も急騰

革命防衛隊司令官らの葬儀(C)ロイター

中東情勢の緊迫にマーケットが揺さぶられている。5日の日経平均株価は大幅反落。3週間ぶりに節目の3万9000円を割り込んだ。

イスラエルとイランの衝突が現実味を帯び、中東の地政学リスクが高まって原油価格が急騰したことなどから、前日の米国株式市場は大幅続落。その流れが直撃した。戦火は広がってしまうのか。

リスク回避心理が強まった東京市場では、幅広い業種の銘柄が売りに売られた。取引時間中の下げ幅は一時1000円に迫り、前日比781円06銭安の3万8992円08銭で引けた。引き金は、イスラエルによるシリアのイラン大使館空爆をめぐる報道だ。「イランが報復する可能性が高まっている」と伝わると、ニューヨーク商業取引所で原油価格の指標となる「米国産WTI原油」の先物価格が値上がり。一時、約5カ月半ぶりに1バレル=87ドル台を超えた。

レバノンの親イラン組織ヒズボラとの連携を担う革命防衛隊の司令官ら7人を殺害されたイランのハメネイ最高指導者は、「我々はこの罪を後悔させる」と報復を宣言。テヘランで5日営まれた葬儀ではイスラエルや後ろ盾の米国に対する怒号がやまず、演説した革命防衛隊のトップは「我々の体制に対する敵のいかなる攻撃も報いを受けずには済まされない」と改めて報復を誓った。

イスラエルはテルアビブ上空でGPS(衛星利用測位システム)にスクランブルをかけるなど、防衛措置に躍起だ。一触即発の様相だが、米国との直接対決を避けたいイランは踏みとどまるとの見方もある。現代イスラム研究センター理事長の宮田律氏はこう言う。

「イランがイスラエルにミサイル攻撃などを仕掛ければ報復合戦となっていつまでも決着がつかないでしょう。かといって、両国が地上戦を展開する事態は想定しづらい。中東におけるイランの代理勢力であるヒズボラやイエメンのフーシ派を通じた報復や、シリアで活動する武装集団に紛れる形でイスラエルを攻撃する可能性はある。一方、イスラエルのネタニヤフ首相が好戦的な姿勢を一向に崩さないのは、トランプ前米大統領の返り咲きに賭けているからでしょう。11月の大統領選まで戦闘を引っ張り、親イスラエルのトランプ再選が確かになったら好き勝手にやる。そうした青写真で動いているとみています」

大統領選次第で中東は地域戦争に陥りかねない。

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