【WWE】殿堂入りのブル中野 320秒の英語スピーチで魅了「またブル中野として生まれ変わりたいです」

「WWE」の名誉殿堂「ホール・オブ・フェイム」のセレモニーに出席したブル中野。後方はインダクターを務めたアランドラ・ブレイズ(ロッシー小川氏提供)

世界最大のプロレス団体「WWE」(米国)の名誉殿堂「ホール・オブ・フェイム」のセレモニーが5日(日本時間6日)、ペンシルベニア州フィラデルフィアのウェルズファーゴセンターで開催され、殿堂入りした元女子プロレスラーの〝女帝〟ことブル中野(56)が世界のファンを魅了した。

1993年からWWF(現WWE)に参戦し、アランドラ・ブレイズと抗争。94年11月の東京ドーム大会ではブレイズを破り、日本人では初となるWWF世界女子王座を獲得した。96年からは再び米国マットに参戦し、WCWマットでメデューサ(ブレイズ)らと激闘を繰り広げた。

インダクターを務めた往年のライバル、ブレイズに紹介されたブルは黒のロングドレスに身を包み、現役時代と同じ青のペイントを入れた姿で登場。「お久しぶりです。この賞を受け取れることをうれしく思います。ずっと、ずっと待っていました」と流ちょうな英語であいさつした。

最初に参戦したのは30年前。26歳の時だった。「生活は大変でした。1か月で28試合のタフな期間を過ごしました。何より大変だったのは会場への移動です。私は英語が話せませんでした。レンタカーを借りて飛行機を乗り継ぎ、ホテルも自分で探して。携帯電話もない時代なので、当時は公衆電話を探しました。大変な日々でした」と当時の苦労を振り返る。

それでも多くの仲間に支えられ、試合をこなしていくうちに「プロレスは世界共通です。英語が話せなくても、同じ空間で試合をして、私は生きていると感じました」という。

ブレイズに「一緒に戦ってくれたこと、心の底から感謝しています」と呼びかけるや「たくさんのスーパースターと試合ができたことを感謝しています。素晴らしい機会を与えてくれ、ありがとうございました。チャンスを無駄にしないように努力しました。WWEユニバース(ファン)のみなさん、ありがとう。ブル中野を受け入れてくれて」と感謝の気持ちを示し、涙を浮かべる場面もあった。

リングサイドではWWE女子王者のイヨ・スカイ、WWE女子タッグ王者のアスカ&カイリ・セインが大先輩のスピーチを見守る中、最後にブルは「私たちは永遠にプロレスを通してつながっています。もし生まれ変わることがあれば、またブル中野として生まれ変わりたいです。そしてWWEのリングに戻ってきます。みなさん、またお目にかかれるのを楽しみにしています。この賞は私の宝物です」。5分20秒の英語スピーチは、大きなインパクトを残した。

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