ガラスのグリーンを攻略せよ!/今こそ聞いちゃうマスターズの“マ”

4月11日(木)にジョージア州のオーガスタナショナルGCで「マスターズ」が開幕します。松山英樹が2021年に優勝した大会は、男子ゴルフの世界最高峰のトーナメント。いまさら他人に聞けない基本をコッソリおさらいします。

ガラスのグリーン

“ガラス”とも形容されるグリーン(提供:Augusta National Golf Club)

歴代優勝者たちによるチャンピオンズディナー、選手の家族も登場するパー3コンテストといったリラックスムードの恒例行事を終えて、プレーヤーはいよいよ本番の顔つきに。オーガスタナショナルGCの難しさはどこにあるのでしょう。

まず挙がるのが、「ガラス」とも表現されるグリーンの難度の高さにあります。パターで“ちょこん”と触っただけで、ボールがどこまでも転がっていくグリーンの仕上がりは、一般的なゴルフ場のそれとは一線を画すもの。グリーンは芝が短ければ短いほど、刈れば刈るほど、ボールが転がるスピードが増します(ゴルフ場は毎朝、プレーヤーのスタート前に芝を刈ります)。

実際には、芝の刈り高、仕上がりに影響されるマスターズのグリーンスピードだけで言えば、日本の男子ツアーの一部大会の方が速い試合もあります。ただし、オーガスタナショナルGCのグリーンは傾斜がとにかく激しいため、下りのラインが恐ろしいほど速く、曲がり幅も大きい。

どう打つべきかしら…(撮影/今井暖)

例えば、6番(パー3)のグリーンは一番低い地点から、最も高いところまでが、人の背丈よりも高いのです。下りのパットになると、マンションの2階の高さから地面にボールを転がすようなもの。そんなパット、誰も打ちたくありません。だから、選手たちはショットでただグリーンにのせることを目指すのではなく、できるだけカップに近いところに置こうと必死になるのです。

ただし、このグリーンの傾斜の激しさが生む、見るゴルフの楽しみもあります。ホールやその日のピンポジション(カップの位置は毎日変わります)によって、選手はグリーンを狙うショットであえてピンにまっすぐは打たず、“あさっての場所”にボールを落とし、下り傾斜を利用してカップに近づけるシーンが多く見られるのもマスターズならでは。ボールがピンに近づくにつれて大きくなる歓声は鳥肌モノです。

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン